テクノロジー・IoT

【2024年版】介護ICT機器の導入事例とメリット・デメリットを徹底解説!

監修者森永 大樹

「介護現場でICTを導入する際の具体的な事例や活用方法を知りたい」

「ICT導入によるメリットとデメリットを把握しておきたい」

介護施設の経営者や管理者のなかには、上記の悩みを持っている方が多いです。

今回は、介護現場におけるICT導入事例や成功させるためのポイントについて解説します。記事を読めば、ICT導入事例や活用方法、補助金制度について理解できますので、最後までご覧ください。

介護施設におけるICT化とは?

ここでは、介護施設における ICT 化について2つ紹介します。具体的には、

  1. ICT化とは何か
  2. ICTとITの違い

の2つです。それでは順番に解説していきます。

ICT化とは何か

 ICT(Information and Communication Technology)とは、情報を効率的に処理し、通信を通じてコミュニケーションを支援する技術のことです。単なる情報処理を超え、人との関わりを深め、業務や日常生活を支える役割を担っています。


介護現場においてICT化が進められる背景には、介護スタッフの負担軽減と業務効率化のニーズがあります。具体的には、以下のような事例です。

  • 電子カルテにより迅速な情報共有が可能
  • 見守りシステムによりスタッフの負担軽減と安全性が向上
  • 勤怠管理ツールの導入による業務の効率化

このように、ICTの活用によりスタッフの負担を軽減しつつ、介護サービスの質を向上させられます。政府も介護現場でのICT導入を推奨し、積極的に支援しています。

ICTとITの違い

「ICT」という言葉を耳にする機会が増えてきました。ICTは、日本語で「情報通信技術」を意味します。ICTは、情報技術(IT)に通信の要素を加えたものです。情報の処理だけでなく、伝達や共有など、通信に関わる技術全般を指します。

IT(情報技術)は、コンピュータやソフトウェアを使って情報を処理する技術に焦点を当てたものです。ICTはそれに加え、メールやSNSを使ったコミュニケーション、ネットショッピングなど、日常生活の中で使われる通信技術を含んでいます。国際的には、ITよりもICTという言葉が広く使用されており、特に介護の現場では、情報の伝達や共有をスムーズに行うために、ICTが必要なのです。

介護業界にICT化が必要な理由

ここでは、介護業界に ICT 化が必要な理由を2つ紹介します。具体的には、

  1. 介護スタッフ不足
  2. 介護ニーズの拡大

の2つです。それでは順番に解説していきます。

理由①介護スタッフ不足

介護業界にICT化が求められる理由の一つは、深刻な介護スタッフ不足です。少子高齢化が進む日本では、介護ニーズが増加しているにもかかわらず、介護職に従事する人材の確保が難しくなっています。厚生労働省は、2025年には、介護職が約55万人不足すると予測しているのです。


出典:厚生労働省「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン改訂版」(P.6)

この課題を解決する手段として、ICTの導入が注目されています。ICTを活用することで、記録業務の自動化や業務の効率化が進み、スタッフ一人ひとりの負担を軽減できます。結果として、限られた人材で質の高いケアを提供できるのです。

ケアプラでは、介護医療に特化した人材紹介サービスを行っています。20代から30代の意欲の高い経験者が多いのが特徴です。ケアプラの支援実績については、こちらからご覧になれます。

理由②介護ニーズの拡大

介護業界でICT化が求められるもう一つの理由は、介護ニーズが拡大していることです。厚生労働省の予測によれば、総人口が減少している中でも、75歳以上の人口の割合は増加すると見込まれています。高齢化が進むにつれて、介護サービスの需要も急速に増加しています。


出典:厚生労働省「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン改訂版」(P.5)

介護現場では業務の負担が増え、アナログ作業では対応しきれない状況です。ICTを活用することで、業務の効率を大幅に改善し、限られた人員でも多くの利用者に質の高いケアを提供できます。介護ニーズの増加に対応するためには、ICT化が避けて通れない道と言えるでしょう。

介護現場のICT導入で得られるメリット

ここでは、介護現場の ICT 導入で得られる メリットを3つ紹介します。具体的には、

  1. 業務の効率化
  2. ケアの質の向上
  3. 情報共有・連携の円滑化

の3つです。それでは順番に解説していきます。

業務の効率化

介護現場にICTを導入することで、業務効率が大幅に改善されます。例えば、従来の紙ベースの記録や手作業による書類管理をデジタル化することで、情報の共有や検索が即座に行えるようになり、スタッフの負担が軽減されます。スタッフ間のコミュニケーションが円滑になり、ミスや伝達漏れが減少するのです。


また、勤怠管理やシフト作成などの事務作業が自動化されることで、スタッフはケア業務に集中できるようになります。

ケアの質の向上

介護現場でのICT導入は、ケアの質を大幅に向上させます。ICTを活用することで、利用者の情報を管理し、それぞれのニーズに合ったケアを提供できるからです。

たとえば、電子カルテシステムを導入すれば、過去のケア履歴や医療情報をすぐに確認し、適切に対応することが可能です。また、見守り支援システムによって、利用者の状態を常時監視し、異常があれば迅速に対応できます。利用者の安全が守られ、スタッフの負担も大きく軽減できるのです。


さらに、蓄積されたデータを分析することで、利用者の状態変化や排泄のタイミングを予測できます。以上のように、ICTの活用によりケアの質が向上するのです。

情報共有・連携の円滑化

介護現場では、情報のスムーズな共有と連携が不可欠です。ICTツールを活用すると、情報共有のスピードがさらに向上します。たとえば、コミュニケーションシステムを導入すれば、一度の連絡で全スタッフに情報を伝達でき、定例の会議や申し送りの頻度を減らすことも可能です。

また、リアルタイムでの情報共有により、タイムラグが解消され業務効率が向上します。その結果、現場の運営をよりスムーズに進められるのです。

介護現場のICT化での留意点について

ここでは、介護現場のICT化での留意点を3つ紹介します。具体的には、

  1. 導入コストが高い
  2. 適応に時間がかかる
  3. 管理体制の整備が必要

の3つです。それでは順番に解説していきます。

導入コストが高い

ICT導入の際に、避けて通れないのが「導入コストの高さ」です。ICT機器やソフトウェアの導入には、初期段階で大きな投資が必要となります。例えば、電子カルテシステムや見守り支援システムの導入には、多額の費用がかかり、小規模な介護施設では初期投資が大きな負担になることが少なくありません。

さらに、導入後も定期的なメンテナンスやシステムのアップデートに関連する費用が継続的に発生するため、コスト管理が課題となるのです。コスト面の課題に対しては、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用する方法があります。初期投資のハードルを下げ、ICT導入をより円滑に進めることが可能です。

適応に時間がかかる

ICTの導入には多くのメリットがありますが、スタッフが新しいシステムに慣れるには時間がかかります。特に、ICTに不慣れなスタッフにとっては、新しいツールやシステムの操作に十分なトレーニングが必要です。

例えば、電子カルテやシフト管理ツールなどは、従来の業務フローを大きく変更するため、導入初期には混乱やミスが発生する可能性があります。そのため、スタッフが安心して利用できるように、導入初期にサポート体制を整えることが重要です。

さらに、ICTを効果的に活用するためには、スタッフの教育が欠かせません。教育には時間とコストがかかりますが、長期的には業務効率の向上につながります。ICT導入を進める際には、サポート体制の整備やスタッフ教育の充実などにリソースを投入することが重要です。

管理体制の整備が必要

ICT導入時には、管理体制の整備が欠かせません。管理が不十分だと、トラブルの対応が遅れ、業務に大きな影響を与える可能性があります。また、利用者の情報がデジタル化されることで、情報漏洩のリスクが高まります。

よって、個人情報の流出などを防ぐためのセキュリティ対策やリスク管理の強化が必要なのです。スタッフ教育やサポート体制を整えることで、ICTの導入がスムーズに進み、介護業務の効率化につなげられます。

介護現場での導入事例7つ紹介!

ここでは、介護現場で導入できる事例について7つを紹介します。具体的には、

  1. 電子カルテおよび記録管理
  2. 勤務シフト自動作成ツール
  3. インカム(携帯通信機)・トランシーバー
  4. 見守り支援システム
  5. 排泄予測装置
  6. 送迎表作成ツール
  7. 勤怠管理および介護請求ソフト

の7つです。それでは順番に解説していきます。


①電子カルテおよび記録管理

介護現場では、電子カルテや記録管理システムの導入が進んでいます。これらのシステムにより、利用者の情報がデジタル化され、記録作業の効率が飛躍的に向上しているのです。

紙ベースの記録に比べ、データ入力はシンプルになり、スタッフの業務負担が大幅に軽減されます。デジタル化された情報は、瞬時に検索や共有が可能となり、ケアの質が向上しています。

②勤務シフト自動作成ツール

介護現場では、勤務シフトの作成が管理者やリーダーの大きな負担になっています。勤務シフト自動作成ツールの導入により、負担を大幅に軽減する事が必要です。このツールは、スタッフの勤務希望や労働条件などの要件を踏まえて、最適なシフトを自動で作成します。

シフト管理にかかる時間が削減されるだけでなく、公平性のある勤務表を作成でき、管理者の負担を減らすことも可能です。また、シフト管理の効率化は、現場の働き方改革にも貢献し、スタッフの満足度向上にもつながります。ICTの活用によって、シフト管理の手間が軽減され、より効率的に業務に取り組めるのです。

③インカム(携帯通信機)・トランシーバー

インカムやトランシーバーは、介護現場でのスムーズなコミュニケーションを支える重要なツールです。特に、広い施設内や夜間など、少人数での対応が求められる場面で効果を発揮します。

ハンズフリーで使用できるインカムは、作業中でも簡単に連絡を取り合えるため、業務効率が向上します。これにより、現場全体の連携がスムーズになり、チームワークの強化にもつながります。スタッフの負担が軽減されるだけでなく、利用者への対応も迅速に行えるようになります。

④見守り支援システム

見守り支援システムは、介護現場で利用者の安全を守るための重要なツールです。センサーやカメラを用いて、利用者の行動や健康状態をリアルタイムで見守り、異常が発生した際には即座にアラートを発信します。

転倒や急な体調変化にも迅速に対応し、事故を未然に防ぐことが可能です。また、夜間の見守り作業が自動化されることで、スタッフの負担が軽減され、他の業務に集中できます。見守り支援システムは、利用者と介護スタッフに大きなメリットをもたらす技術です。

⑤排泄予測装置

排泄予測装置は、利用者の尿量をリアルタイムでモニタリングし、適切なタイミングでの排尿を予測・通知するICT機器です。利用者はトイレの失敗を防ぎ、自立した生活を維持できます。

介護スタッフの負担も軽減され、利用者の快適さや生活の質が向上します。

⑥送迎表作成ツール

送迎表作成ツールは、介護施設での送迎業務を効率的に管理するシステムです。このツールを使うことで、利用者の送迎スケジュールをスムーズに設定し、最適なルートを自動で作成できます。


これにより、送迎の手配が円滑になり、スタッフの負担も大幅に軽減されます。また、リアルタイムでスケジュールを調整できるため、突発的な変更にも柔軟に対応可能です。

⑦勤怠管理および介護請求ソフト

勤怠管理ソフトを使用すると、スタッフの出退勤データが自動的に集計され、給与計算が迅速に行われるため、手作業によるミスが減り、計算の精度が向上します。

また、介護請求ソフトを導入することで、介護保険に関する請求業務を一元管理でき、事務作業の負担が軽減されます。導入に際しては、操作が簡単で丁寧なサポートを受けられるソフトを選ぶことが重要です。

介護施設でICT化を進めるためのポイント

ここでは、介護施設で ICT 化を進めるためのポイントを3つ紹介します。具体的には、

  1. 使いやすい機器を導入する
  2. 苦手意識を克服する
  3. 国や自治体の補助制度を活用する

の3つです。それでは順番に解説していきます。

使いやすい機器を導入する

介護施設でICT化を進める際には、使いやすい機器を導入することが重要です。操作が簡単で直感的に扱えるタッチパネル式の端末や、音声操作が可能な機器を選ぶことで、スタッフの負担を軽減できます。

日常的に使用されているタブレットやスマートフォン型の端末を導入すれば、抵抗感が少なく、操作もすぐに習得できるでしょう。また、一度に多くを導入するのではなく、業務の効率化が実感しやすいものから段階的に取り入れるのが賢明です。

外国人スタッフがいる施設では、翻訳機能を備えた機器を導入することで、スタッフ間の操作スキルの差を縮め円滑に業務を進められます。

苦手意識を克服する

ICT 化を進めるためには、スタッフの苦手意識を克服することが重要です。ここでは、苦手意識を克服するための具体的な方法を3つ紹介します。

小さな成功体験を積み重ねる

スタッフの苦手意識を克服してもらうためには、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。最初から複雑な操作を求めず、比較的容易な作業から導入します。

例えば、電子カルテを導入する場合、すべての記録を一度にデジタル化するのではなく、日々のバイタルサインの記録から始めると良いでしょう。少しずつシステムの使い方に慣れることで、デジタル化の利便性を実感しやすくなります。このように成功体験を積み重ねることで、スタッフは自信を持ち、ICTに対しても前向きな姿勢を取るようになるのです。

効率化を実感してもらう

スタッフに業務の効率化を実感してもらうことが重要です。効率化が進んでいると感じることで、ICT化に対する前向きな姿勢が生まれ導入の成功にもつながります。

例えば、紙の記録を電子化することで業務時間が短縮され、記録の管理も容易になります。業務が「見える化」され、具体的な成果が明確になることで、スタッフは効率化を実感し、さらにICT化を推進しようという意欲が高まるのです。

利用者の利益につながることを知ってもらう

ICTの導入は、利用者にも大きな利益をもたらします。ICTを活用して業務が効率化されると、介護スタッフがケアに専念する時間が増えます。また、見守りシステムや排泄予測装置の導入によって、利用者はより安心で快適な環境で生活できるようになるのです。


多くの介護スタッフは、常に利用者の利益を最優先に考えています。そのため、ICT化が利用者のためになることを伝えることで、スタッフの理解と協力が得られやすくなり、導入も円滑に進みます。

国や自治体の補助制度を活用する

介護施設で ICT 化を進めるには、国や自治体の補助制度を活用することが重要です。ここでは、補助金の対象や要件について解説します。

補助金対象について

介護施設でICT導入を進める際には、国や自治体が提供する補助金制度を利用することで、費用負担を軽減できます。この補助金は、介護サービスの質を向上させ、業務を効率化することを目的としています。


補助対象となる具体的な項目は、以下の通りです。


①介護ソフトウェアの導入

  • 記録管理システム
  • 情報共有プラットフォーム
  • 請求業務の自動化ツール
  • ケアプランの作成・連携システム


②情報通信機器の購入

  • タブレット端末
  • スマートフォン
  • インカム(携帯通信機)

③ネットワークインフラの整備

  • Wi-Fi環境の構築
  • 施設内ネットワークの最適化


以上の項目に補助金を活用することで、費用負担を軽減できます。

要件について

補助金の要件は、自治体によって異なる場合があります。ここでは、愛知県の要件を紹介します。愛知県における補助金制度の要件を簡単にまとめると、以下の通りです。

1. 厚生労働省の指針に基づき、ICTを活用した業務改善の「導入計画」を作成し、導入効果の報告を行うこと。他事業者からの照会に応じること。

2. ICT導入後、LIFE(科学的介護情報システム)による情報収集に協力すること。タブレット端末の導入時も同様。

3. タブレット端末等を業務専用にし、介護ソフトをインストールして使用すること。セキュリティ対策を徹底すること。

4. IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言すること。

5. ICT導入による業務改善や効率化が達成された場合、その効果を職員の賃金へ適切に還元し、職員に周知すること。

出典:愛知県「介護事業所 ICT導入支援事業


これらの要件を事前に把握し、スムーズなICT導入を実現しましょう。

まとめ

介護業界では、深刻な人手不足が続いており、業務の効率化が急務となっています。その中で注目されているのが、介護施設のICT化です。

ICTを導入することで、業務の効率化や情報共有がスムーズに進み、介護スタッフの負担が軽減されます。その結果、最終的には利用者へのサービスの質が向上します。ただし、導入にはコストや適応に時間がかかる点、そして管理体制の整備が必要となる点が課題です。

補助金制度を活用すれば、コスト負担の軽減に大いに役立ちます。事前に要件を確認し、スムーズな導入に向けた準備を進めましょう。これらのポイントを押さえ、介護現場のICT化を推進し、より質の高い介護サービスを提供していきましょう。


監修者

森永 大樹のプロフィール写真

森永 大樹

エジスト株式会社 代表取締役

2018年大学卒業後、レバレジーズ株式会社に入社し、介護事業部の営業を担当。2020年に退職後、エジスト株式会社を設立し、介護・医療業界特化メディア、採用支援サービスのケアプラを運営する。

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