介護施設の開業に必要な手続きとステップを徹底解説!成功の秘訣も紹介

介護施設の開業に必要な手続きとステップを徹底解説!成功の秘訣も紹介
「介護施設を開業する方法や必要なスキル、知識などを知りたい」
「開業するまでの具体的な流れを知りたい」
これから介護施設を開業しようと考えている方のなかには、上記の悩みを持っている方が多いです。今回は、介護施設の開業に必要な手続きとステップについて解説します。
この記事を読むことで、介護施設を開業するために必要な知識を得られ、準備に向けて行動に移せます。ぜひ最後までご覧ください。
介護施設の開業に必要な法人格の種類について
介護施設を開業するには、国や自治体が定める基準を満たさなければなりません。その一つが法人格の取得です。個人事業主としては、介護事業を開始できません。
介護事業を運営する法人には、営利法人と非営利法人の2つのタイプがあります。それぞれについて詳しく解説します。
営利法人
非営利法人に比べて、営利法人は設立に必要な時間が短いというメリットがあります。以下に、営利法人の特徴をまとめました。
法人形態 | 特徴 | メリット・デメリット |
株式会社 | ・株式を発行して資金を調達 | 【メリット】 |
合同会社 | ・2006年の会社法改正により新たに設立された会社形態 | 【メリット】 |
非営利法人
非営利法人の設立は、営利法人に比べて手続きや要件が多いです。時間を要しますが、税制優遇や社会的信用度の高さなどのメリットがあります。
法人形態 | 特徴 | メリット・デメリット |
社会福祉法人 | ・社会福祉法に基づいて設立され、社会福祉事業を目的とする | 【メリット】 |
医療法人 | ・医療法に基づいて設立 | 【メリット】 |
NPO 法人(特定非営利活動法人) | ・NPO法に基づき設立 | 【メリット】 |
介護施設を開業するために必要な資格を解説!
ここでは、介護施設も開業するために必要な資格を事業所ごとに説明します。具体的には、
- 居宅介護支援事業所
- 訪問介護事業所
- デイサービス
- グループホーム
の4つです。それでは順番に解説していきます。
居宅介護支援事業所を開業する場合
居宅介護支援事業所を開業するためには、事業所に少なくとも1名の主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)を常勤で配置しなければなりません。主任介護支援専門員は、事業所の管理者を兼務することも可能です。
また、介護支援専門員は利用者35人ごとに1名以上配置する義務があります。開設者には、資格は必要ありませんが、上記の資格要件を満たす人員を配置する必要があります。
主任介護支援専門員の資格を取得するためには、介護支援専門員としての実務経験(通常5年以上)や研修受講が必要です。
訪問介護事業所を開業する場合
訪問介護事業所を開業するためには、管理者1名・サービス提供責任者1名・ホームヘルパー3名が必要です。
◯管理者:特定の資格は必要なし。ただし、常勤かつ専任の管理者を配置する必要がある。
◯サービス提供責任者の資格: 介護福祉士・介護福祉士実務者研修・看護師・ホームヘルパー1級・介護職員基礎研修
◯訪問介護員(ホームヘルパー):介護福祉士・ホームヘルパー1級もしくは2級・介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修・生活援助従事者研修・介護職員基礎研修
デイサービスを開業する場合
デイサービスを開業するには、管理者1名、介護職員または看護職員1名、機能訓練指導員1名、生活相談員1名が必要です。定員が増えることに、職員の増員が必要となります。
◯管理者:特定の資格は不要だが、常勤で1名以上の構成が必要
◯生活相談員:社会福祉士、介護福祉士、または同等の能力を有する者
◯看護職員:看護師または准看護師
◯介護職員:特定の資格は不要。ただし、介護福祉士、介護福祉士実務者研修、介護職員初任者研修修了者は加算対象となる。
◯機能訓練指導員:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師
グループホームを開業する場合
グループホームを開業するためには、以下の資格を持つ職員を配置する必要があります。
◯管理者:認知症対応型サービス事業管理者研修を修了していること
◯計画作成担当者:介護支援専門員(ケアマネジャー)もしくは、厚生労働省の指定研修を修了し、認知症の介護サービスに関わる計画作成の実務経験がある者
◯介護職員:要件なし。ただし介護福祉士や介護福祉士実務者研修修了者が優遇される傾向
※看護師・准看護師の配置義務はないが、日中のみ配置している施設が多い。
出典:厚生労働省「人員配置基準等 介護人材の確保と介護現場の生産性の向上」(P.4)
介護施設を開業するための7つのステップ
ここでは、介護施設を開業するためのステップについて紹介します。具体的には、
- ステップ① 事業内容を決定する
- ステップ② 法人格を取得する
- ステップ③ 事務所及び備品等を準備する
- ステップ④ 職員を採用する
- ステップ⑤指定前研修を受講する
- ステップ⑥ 指定申請を行う
- ステップ⑦ 運営を開始する
の7つです。
それでは順番に解説していきます。
ステップ① 事業内容を決定する
まずは、介護サービスの内容を決定しましょう。例えば、訪問介護、デイサービス、グループホームなど、さまざまな形態があります。これらのサービスには異なるニーズがあり、それぞれ必要な人員や設備も異なります。
次に、ターゲットとする利用者層を特定することが重要です。自立している高齢者を中心にするのか、認知症の方を中心にするのかなど、詳細を決めます。ターゲットを明確にすることで、施設の運営方針や特色を打ち出しやすくなります。
必要な人員や設備、申請先などを確認し、手続きの準備を進めましょう。
ステップ② 法人格を取得する
事業内容の決定と事前準備が整ったら、次に法人格を取得します。法人格の種類によって設立費用や期間などが異なるため、注意が重要です。
例えば、株式会社や合同会社の場合、登記が完了するまでに2〜3週間程度かかります。一方、NPO法人の設立には認証審査に約2ヶ月が必要で、認証後に登記を行うため、合計で約4ヶ月の準備期間が必要です。法人形態によって設立要件は異なるため、各法人格の特徴と要件を把握しておきましょう。
ステップ③ 事務所及び備品等を準備する
次に、事務所と備品の準備を行います。必要なスペースを確保し、設備基準を満たすようにしましょう。必要な備品を揃えることも大切です。デスクや椅子、パソコンなどの事務用品も準備する必要があります。
備品を準備する際には、リストを作成しましょう。計画的に購入を進めて、開業後の運営をスムーズに進めます。
ステップ④ 職員を採用する
信頼できる職員の採用は、非常に重要です。まず、必要な職種と人数を確認しましょう。介護職員、看護師、事務職員など、それぞれの職種の役割を把握し、人材を確保します。また、求人活動は幅広く行うことが効果的です。ハローワークに加えて、人材紹介エージェントなどを活用し、幅広く応募者を募ると良いでしょう。
経営者が資格を持っていなくても運営に支障はありませんが、欠員が出た場合にカバーできるように、資格を持っていることが望ましいです。
さらに、採用後の研修も重要です。介護施設の理念や方針を理解してもらい、具体的な業務内容や対応方法を学ぶことで、職員の質を高めます。
ステップ⑤指定前研修を受講する
介護施設を開業するには、指定前研修を受講する必要があります。研修の目的は、介護保険制度について学び、開業後に適切な事業運営ができるようになることです。指定前研修は、自治体や関連団体が主催しており、無料で受講できます。
研修では、介護保険制度の概要や法令遵守の重要性、運営の注意点などを学びます。研修で得た知識を活かし、健全な施設運営を目指しましょう。
ステップ⑥ 指定申請を行う
指定前研修の受講後、必要書類を揃え自治体へ提出します。申請には、要件を満たす必要があります。主な要件は、
- 法人格の取得
- 人員基準を満たしていること
- 設備および運営基準を満たしていること
- 指定前研修を受講していること
などです。
審査を通過すると、指定通知書が交付され、指定事業者として正式に認定されます。指定申請の手続きは複雑です。書類を正確に準備を進め、円滑な開業を目指しましょう。
ステップ⑦ 運営を開始する
運営を円滑に開始するためには、以下の3つを整備する必要があります。
- 書類の整備
- 労務関連の手続き
- スタッフ研修
まずは、介護サービス利用のための契約書や重要事項説明書などを作成します。また、雇用契約書、社内規定やマニュアルなどの書類作成も必要です。
次に、従業員の給与や社会保険などの労務関連の手続きも欠かせません。事前に、労務管理システムの導入を検討しましょう。定期的なスタッフ研修やミーティングを行い、サービスの質を維持・向上させることも大切です。
介護施設を開業するために必要な費用と資金調達方法
ここでは、介護施設を開業するために必要な費用および資金調達方法について解説します。
初期費用
介護施設の開業には、初期費用がかかります。開業資金は、およそ200〜1,000万円が一般的です。サービスの種類によって必要な資金は異なり、比較的少ない資金で済むのが訪問介護で、通所介護は高くなる傾向があります。
開業資金として必要になる主な費用は以下の通りです。
費用項目 | 詳細 | 金額目安 |
人件費 | 人員基準を満たす必要があります。開業前から人員を確保するため、給与が発生します。 | 施設形態による |
法人設立費 | 法人設立に係る費用が発生します。株式会社の場合30万円程度、合同会社や一般社団法人で10万円程度見積もります。 | 15~30万円 |
家賃 | 間取りや設備基準を満たしているかを審査されます。事務所の賃料は、立地や広さによって異なります。 | 月額10~30万円 |
内装工事費 | 設備基準を満たすために、改装が必要になる場合があります。 | 100~300万円 |
事務所内の備品 | 事務机、椅子、相談室用の設備、ロッカー、固定電話、携帯電話、パソコン、筆記用具など。 | 50~100万円 |
車両と駐車場代 | 訪問に必要な車両と台数分の駐車場代が必要です。 | 車両費用:50~100万円 |
運転資金
介護施設の運営には、運転資金の確保も重要です。運転資金とは、日々の運営に必要な費用を指します。具体的には、職員の給与や社会保険料、施設の維持管理費などです。
人件費は、施設運営の大きな部分を占めます。また、社会保険や労働保険の支払いも大きなコストです。これらは毎月発生するため、計画的な資金管理を必要とします。
さらに、施設の維持管理費や消耗品の補充も運転資金に含まれます。これらの費用も見込んで、適切な予算を組みましょう。
資金調達の方法
ここでは、資金調達の方法について3つを紹介します。
自己資金とファクタリングの利用
開業には、多額の資金が必要です。まず、自己資金の利用を検討しましょう。しかし、自己資金だけでは不足する場合もあります。そこで、ファクタリングの利用が有効です。
ファクタリングとは、売掛債権を現金化する手法であり、資金調達の一つです。ファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた現金を早期に得られます。
つまり、売掛金の支払い期日より前に資金を手に入れることで、資金繰りの改善が見込めるのです。自己資金とファクタリングを併用することで、資金繰りのリスクを分散し、安定した経営が可能になります。
金融機関からの融資
金融機関からの融資は、重要な資金調達方法の一つです。資金調達の際には、銀行のほかに日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付き融資も検討すると良いでしょう。日本政策金融公庫は、創業支援を行っており、実績がない会社でも比較的融資を受けやすいです。特に、無担保・保証人なしで融資を受けられる場合もあり、初期段階での資金調達に適しています。
信用保証協会は、企業が金融機関から融資を受ける際に債務を保証する機関です。これにより、銀行からの融資が受けやすくなります。ただし、保証料が別途かかることを確認しておきましょう。信用保証協会の保証付き融資は、借入金額や借入期間に応じた保証料が必要です。融資を受ける際には、事業計画書が欠かせません。自己資金の状況や過去の経営実績も重要な審査ポイントとなりますので、しっかりと準備しましょう。
助成金・補助金の活用
助成金や補助金を活用することで資金負担を軽減できます。ここでは、3つの助成金について概要を説明します。
助成金の種類 | 支給内容 |
中小企業労働環境向上助成金 | 中小企業が労働環境の改善を目的とした設備投資や人材育成を行う場合に支給されます。 |
トライアル雇用助成金 | 一定期間の試行的な雇用を経て、正式に採用することを促進する場合に支給されます。 |
特定求職者雇用開発助成金 | 高齢者や障がい者などの特定求職者を新たに雇用する場合に支給されます。 |
出典:厚生労働省「中小企業労働環境向上助成金のご案内」
出典:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」
出典:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金」
介護事業で成功するためのポイントと注意点
ここでは、介護事業で成功するためのポイントと注意点を紹介します。具体的には、
- 資金計画をシミュレーションしておく
- 事業所の特色を出す
- スタッフとの信頼関係を築いておく
の3つです。それでは順番に解説していきます。
資金計画をシミュレーションしておく
介護施設を開業する際には、事前に資金計画をシミュレーションしておくことが重要です。まず、初期費用や運転資金を具体的に見積もりましょう。次に、収入と支出のバランスを見極めます。主な収入は、利用者からの介護報酬です。開業直後は、利用者が安定しないことも考慮し、余裕を持った計画を立てましょう。
また、予期せぬ出費もあるため、予備費を設定しておくと安心です。そして、シミュレーション結果をもとに、必要な資金調達方法を検討します。自己資金のほか、金融機関からの融資や助成金・補助金の活用も視野に入れましょう。
事業所の特色を出す
介護事業を成功させるためには、他の施設との差別化が不可欠です。まず、施設のコンセプトを明確にしましょう。例えば、認知症ケアに特化する、看取りサービスを提供するなど、具体的な特色を打ち出すと、選ばれやすくなります。
次に、レクリエーションやイベントの提供方法にも工夫が必要です。独自のプログラムやアクティビティを提供することで、施設の特色を出せます。例えば、音楽療法や園芸療法、アートセラピーなどを取り入れると、利用者が楽しめてリハビリ効果も高まるのです。このように、介護施設の特色を打ち出し、利用者やケアマネジャーに選ばれる施設を目指しましょう。
スタッフとの信頼関係を築いておく
運営に成功するためには、スタッフとの信頼関係が欠かせません。そのためには、ミーティングや個別面談を通じて、スタッフの意見や要望を聞く機会を設けましょう。
次に、スタッフの成長を支援するために、研修やスキルアップの機会を提供します。資格取得の支援制度を構築するのも効果的です。そうすることで、スタッフは自身の成長を目標にし、働く意欲が高まります。
また、シフト調整にも配慮が必要です。残業をできるだけ少なくし、有給取得を促進して、働きやすい環境を整えましょう。最後に、日々の努力に対する感謝の気持ちを伝えることも大切です。スタッフの士気が高まり、施設全体の雰囲気が良くなります。信頼関係を築くことで、施設の運営を円滑に進められます。
まとめ
今回は、介護施設の開業について解説しました。
介護施設の開業には、さまざまな準備が必要です。まず、事業内容を決定し、法人格を取得します。その後、事務所の準備や職員の採用を進め、指定前研修を受講しましょう。指定申請が承認されれば、運営を開始できます。
資金調達も重要な要素です。自己資金やファクタリングの利用、金融機関からの融資、そして助成金・補助金の活用を検討しましょう。支援制度を利用することで、資金負担を軽減できます。
介護施設の運営に成功するためのポイントとして、資金計画のシミュレーション、事業所の特色を出すこと、そしてスタッフとの信頼関係を築くことが挙げられます。しっかりと準備と計画を行い、健全な介護施設を運営しましょう。


