事業経営・ビジネス

潰れる介護施設の特徴や原因とは? 前兆や対策を徹底解説【施設長とコンサルが解説】

監修者森永 大樹

「潰れる介護施設の特徴や見分け方を知りたい」

「介護施設の倒産を防ぐための対策を知りたい」


介護施設を運営されている方のなかには、上記の悩みを持っている方が多いです。今回は、潰れる介護施設の特徴や原因、倒産を防ぐための対策について解説します。


記事を読めば、介護施設が倒産してしまう原因や対策が理解できますので、最後までご覧ください。

潰れる介護施設の現状と背景

ここでは、介護施設が倒産している現状と背景について紹介します。


具体的には、

  1. 2023年の介護施設の倒産数は過去2番目
  2. 事業者が増えたことで淘汰されている


の2つです。それでは順番に解説していきます。

2023年の介護施設の倒産数は過去2番目

2023年の介護施設の倒産数は122件で、過去2番目に多い記録となりました。これは、介護業界全体が厳しい経営環境にあることを示しています。業種別に最も多かったのが訪問介護事業の倒産数67件であり、次に通所・短期入所介護事業41件でした。

主な原因としては、人手不足や燃料費の高騰、利益率の低さが挙げられます。特に人手不足が深刻化しており、介護職員の確保が難しくなっています。また、2024年の介護報酬改定においても、望むような結果が得られず経営が難航している施設も多いです。

出典:株式会社東京商工リサーチ「介護事業者の倒産は過去2番目

事業者が増えたことで淘汰されている

介護施設の倒産が増えている背景には、事業者の増加があります。訪問介護やデイサービスなどの分野では倒産が多いにもかかわらず、この5年間で事業所の数は増えています。その結果、競争が激化し、資金力や運営能力に優れた施設が生き残る一方で、経営が厳しい施設は淘汰される傾向があります。

特に規模の小さい事業者は、新型コロナウイルスの影響などで資金繰りに苦しみ、倒産のリスクが高まっています。このように、介護施設が増えることで市場が飽和状態になり、淘汰される施設が増える現象が起きています。

出典:Well care「介護サービス事業所数・施設数6年間推移

潰れる介護施設の特徴5つ

ここでは、潰れる介護施設の特徴を5つ紹介します。具体的には、

  1. 職員の不満度が高い
  2. 設備が老朽化している
  3. 清潔感を感じられない
  4. 介護職員処遇改善加算を取得していない
  5. 補助制度を活用していない

の5つです。

それでは、順番に解説していきます。

職員の不満度が高い

潰れてしまう介護施設の特徴の一つに、職員の不満度が高いことがあります。ここでは、職員の不満度が高くなってしまう原因を紹介します。

労働時間が長い

職員の不満が高い介護施設には、長時間労働が多いという特徴があります。長い労働時間は、職員の疲労やストレスを増やし、不満を引き起こします。

不満が高まると離職率が上がり、残された職員にさらに負担がかかります。残業や休日出勤が増え、職員が次々と辞めていく悪循環に陥ってしまうのです。

職員同士の関係性が悪い

職員同士の関係が悪い介護施設は、経営が危機に陥りやすい傾向があります。職場の雰囲気が悪くなると、コミュニケーションが不足し、チームワークがうまく機能しなくなります。その結果、介護の質が低下し、事故の件数が増えることになるのです。

また、利用者は施設の雰囲気を敏感に察知します。施設の満足度が低下すると、利用者が減少し、経営が悪化していきます。最終的には施設が潰れるリスクが高まるのです。

入居者からの嫌がらせなどが蔓延している

潰れてしまう施設には、入居者からの嫌がらせが蔓延している場合があります。通常、職員が入居者や家族からハラスメントを受けた際には、施設全体で職員を守る対応をします。


しかし、一部の施設では、入居者や家族のハラスメントに対応せず、職員の苦しみを見過ごしてしまうことがあるのです。対応が不十分な施設では職員の不満が高まり、結果として離職率が上がります。人手不足が深刻化し、施設が潰れてしまうことになるのです。

設備が老朽化している

介護施設の設備が老朽化していることは、倒産リスクを高める大きな要因の一つです。古い設備を修繕せずに使い続けると、事故やトラブルの原因になります。例えば、ぐらつきのある手すりが放置されると、転倒事故が起きやすくなり危険です。

また、設備の老朽化は見た目にも悪影響を及ぼします。これにより施設の評判が下がり、新しい利用者が減ってしまいます。その結果、経営が厳しくなり、施設が倒産するリスクが高まるのです。

清潔感を感じられない

介護施設に清潔感がない場合、倒産のリスクが高い可能性があります。例えば、玄関や共有スペースにゴミが落ちていたり、蜘蛛の巣が張っていたりするなど、清掃が行き届いていないケースです。誰もが目にする場所で清掃が不十分ということは、人手が足りていないことを示しています。

また、清掃やメンテナンスが行き届いていない施設では、職員の士気も低くなりがちです。その結果、サービスの質が低下し、入居者の満足度も下がるという悪循環に陥ります。

介護職員処遇改善加算を取得していない

介護職員処遇改善加算を取得していない介護施設も、倒産のリスクが高いと考えられます。介護職員処遇改善加算とは、介護職員の給与や待遇を改善するための制度で、取得することで、職員の処遇向上のための追加報酬を得ることが可能です。


しかし、加算を取得するには、職員のキャリアアップ計画を作成し、書類を提出しなければなりません。加算を取得していない施設は、こうした事務手続きを行う余裕がないと考えられます。職員の働きやすい環境を整える意識が低いため、離職率が高くなることが予想されるのです。

補助制度を活用していない

介護施設が潰れる原因の一つに、補助制度を活用していないことが挙げられます。補助制度は、介護施設が安定した経営を続けるために非常に重要な支援策です。例えば、先述した介護職員処遇改善加算や設備投資補助などがあります。

補助制度を活用するには、一定の事務作業が必要です。対応できない施設は、競争力が低下しており、経営が悪化しやすい状況にあると考えられます。

介護施設が潰れる原因について

ここでは、介護施設が潰れる原因5つを紹介いたします。具体的には、

  1. 人手不足
  2. 利益率の低さによる経営難
  3. 介護報酬の改定が期待できない
  4. 競合企業の増加
  5. 新型コロナウイルスの影響

の5つです。それでは、順番に解説していきます。

人手不足

介護施設が倒産する原因の一つに「人手不足」があります。職員が不足すると、残った職員は、残業や休日出勤をして、なんとかシフトを回すことになります。その結果、職員は十分にリフレッシュできず、ストレスが増えてしまうのです。

この状況が続くと、職員の離職率がさらに高まり、人手不足が一層深刻化します。また、必要な人員が確保できないと、利用者へのケアの質が低下し、施設の評判が悪くなります。その結果、新規の利用者が減り、収益が低下する悪循環に陥るのです。

利益率の低さによる経営難

介護施設が倒産する要因の一つに、利益率の低さがあります。利益率を上げる方法として値上げがありますが、介護サービスの料金は介護保険法で定められているため、事業者は値上げができません。


その結果、職員の給与や設備のメンテナンスに十分な投資ができず、施設の雰囲気も悪化します。そして利用者が減少し、悪循環に陥って最終的には倒産してしまうのです。

介護報酬の改定が期待できない

介護施設が潰れる原因の一つに「介護報酬の改定が期待できない」ことがあります。介護報酬は、施設の収益の大部分を占める重要な収入源です。


直近の2024年度の介護報酬改定でも、思うようなプラス改定は実現しませんでした。近年では、光熱費やガソリン代などの物価上昇が顕著となっています。物価や人件費の上昇に耐えられず、経営危機に陥ってしまう施設もあるのです。

競合企業の増加

介護施設が潰れる原因の一つに「競合企業の増加」があります。地域によっては、介護ニーズよりも施設の数が多くなり、稼働率が低下しているケースも見られます。また、施設が増えることで介護職員も分散してしまうのです。


介護業界はもともと深刻な人手不足に悩んでいます。人材の採用コストが上昇し、それがさらに経営を圧迫する原因となっているのです。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響は、介護施設の経営に大きな打撃を与えています。利用者や職員が感染すると、稼働率が低下し収益も減少します。また、職員が感染すると人手不足がさらに深刻化し、残った職員に大きな負担がかかるのです。このような状況が続くと、職員の離職率が上昇し、経営がさらに悪化します。

倒産の前兆に気づくポイント

ここでは、倒産の前兆に気付くポイント4つを紹介します。具体的には、

  1. 稼働率の低下
  2. 離職率の上昇
  3. クレーム増加
  4. 設備などに投資できなくなる

の4つです。それでは、順番に解説していきます。

稼働率の低下

介護施設が倒産してしまう前兆の一つに「稼働率の低下」があります。稼働率とは、施設の利用率を示す指標であり、施設の収益に直結します。例えば、空室が多い状態が続くと、介護報酬が得られず経営を圧迫するのです。

また、稼働率の低下は「空きが多い施設」という地域の評判を呼びます。職員のモチベーションにも悪い影響を与え、サービスの質が低下してしまう悪循環につながってしまうのです。

 離職率の上昇

離職率の上昇も、介護施設の倒産リスクを高めます。離職率が高まると、残った職員でシフトを回すため、負担が大きくなってしまいます。その結果、職員のストレスや疲労は大きくなり、さらなる離職を引き起こしてしまうのです。

また、職員の採用や教育にかかるコストも増加し、経営を圧迫します。離職率の上昇は、介護施設の経営に深刻な影響を与え、倒産リスクを高める要因となるのです。

クレーム増加

介護施設が倒産する前兆として、クレームの増加が挙げられます。特に、同じようなクレームが続く施設には要注意です。通常であれば、クレームが発生すれば、再発防止のために人員を増やすなどの対策を講じます。

しかし、経営状態が悪化している施設は、増員も難しい状態です。その結果、同じようなクレームが発生し、施設の評判が悪化してしまいます。新規利用者も減少し、さらに収益を上げるのが難しくなってしまうのです。

設備などに投資できなくなる

設備などに投資できなくなることも、介護施設が倒産する前兆です。スタッフや利用者が安全・快適に過ごすには、最低限の設備設備を必要とします。経営が圧迫している施設は、介護機器や住居環境のメンテナンスにコストを掛けられません。

その結果、施設の老朽化や故障が進み、メンテナンスがされないまま放置されてしまいます。これにより新規利用者の獲得が難しくなり、さらに収益が低下してしまうのです。

介護施設の倒産を防ぐための対策

ここでは、介護施設の倒産を防ぐための対策について紹介します。具体的には、

  1. 職員の満足度を上げる
  2. ニーズに合ったサービスを提供する
  3. 制度を活用する

の3つです。それでは順番に解説していきます。

職員の満足度を上げる

倒産を防ぐためには、職員の満足度を上げることが重要です。ここでは、職員の満足度を上げるための具体的な方策について解説していきます。

残業を少なくする

職員の満足度を上げるためには、残業を減らすことが重要です。残業が少ないと体力的な負担が減り、ストレスも軽減されます。その結果、職員はより元気に働けるようになるのです。

また、残業が少ないとワークライフバランスが取りやすくなり、仕事の満足度も向上します。職員が心身ともに健康であれば、利用者へのケアの質も向上します。さらに、職員のモチベーションが上がり、仕事の効率も良くなります。職員の生産性が上がることで、施設全体の運営もスムーズになるのです。

職員の悩みを解消する

職員の満足度を上げるためには、職員の悩みを解消することが重要です。悩みを放置すると、職員のストレスが増加し、離職率が上昇します。

よくある介護職員の悩みとして、以下のことがあります。

  1. 人間関係
  2. シフトなどの労働環境
  3. 給与・待遇
  4. 資格取得などのキャリアアップ

職員の悩みは個々に異なるため、それぞれに対応が求められます。そのため、定期的な面談や相談窓口の設置が有効です。職員が気軽に相談できる環境が整えば、安心して働けます。また、研修やキャリアアップの支援を行うことで、職員の成長を促し、長期的に働く意欲を高められるのです。

悪質な入居者にきちんと対応する

職員の満足度を上げるには、悪質な入居者や家族に対応することも欠かせません。最近では、介護職員に対する利用者や家族からのハラスメントが問題になっています。利用者の中には認知症などの疾患を持つ人もいるため、必ずしも悪意があるとは限りません。しかし、対応する職員にとっては、ストレスは大きいものです。

職員が抱える悩みやストレスについて、見て見ぬふりをするのは絶対にNG です。離職率の上昇によって、ケアの質が低下してしまいます。そのようなことを避けるためにも、正面から課題に向き合い、職員の声に耳を傾けることが重要です。すぐに解決できなくても、施設全体で解決に向けて行動する指針を示すことで、職員は安心して業務に取り組めます。

ニーズに合ったサービスを提供する

介護施設が安定して運営を続けるためには、利用者のニーズに応じたサービスを提供することが大切です。利用者が求めるサービスを提供することで満足度が向上し、信頼を得られます。利用者や家族から信頼されれば、口コミで新たな入居者を獲得することも可能です。

また、他の施設との差別化も図れます。例えば、レクリエーションや体操に工夫を凝らすことで、独自の魅力を持つ施設として評価されます。その結果、長期的に利用者を確保でき、安定した運営が実現するのです。

制度を活用する

介護施設が倒産を防ぐためには、公的な制度を活用することが大切です。例えば、介護職員処遇改善加算を利用すれば、職員の給与や待遇を向上させられます。これにより、職員の満足度が上がり、離職率の低下につながるのです。

また、設備投資や施設の改修に対する補助金や助成金を利用することで、施設の質を高められます。少ない負担で利用者に快適な環境を提供でき、満足度も向上します。こうした制度を積極的に活用することで、介護施設の経営を安定させ、倒産リスクを軽減できるのです。

まとめ

今回は、介護施設が潰れる原因やその特徴、そして倒産を防ぐための対策について解説しました。

介護施設の倒産には、職員の不満や設備の老朽化、制度を活用していないことが大きな要因です。さらに、人手不足や利益率の低さも施設経営を圧迫します。倒産の兆候としては、稼働率の低下や離職率の上昇が挙げられます。これらの問題に対応するためには、職員の満足度を高めることが重要です。

また、利用者のニーズに応じたサービスを提供し、各種制度を活用することも欠かせません。これらの対策を講じることで、介護施設は安定した運営を続けることが可能です。




監修者

森永 大樹のプロフィール写真

森永 大樹

エジスト株式会社 代表取締役

2018年大学卒業後、レバレジーズ株式会社に入社し、介護事業部の営業を担当。2020年に退職後、エジスト株式会社を設立し、介護・医療業界特化メディア、採用支援サービスのケアプラを運営する。

資料請求

ケアプラのサービス資料をダウンロードいただけます。採用マーケティング支援や医療介護特化のSNS運用代行サービスをご検討の方はぜひご一読ください。

資料請求をする

ご相談・お問い合わせ

お客様の採用や集客における課題解決をケアプラの多くの業界特化での事例をもとにサポートします。お気軽にご相談ください。

まずは相談する