事業経営・ビジネス

訪問介護の経営者の年収はいくら?開業に必要な資金と将来性

監修者森永 大樹

この記事では訪問介護の経営者の年収について紹介していきます。


「訪問介護の経営者の年収はいくらなのか?」

「訪問介護の将来性はどうなのか?」

「訪問介護を開業するまでの流れは?」


こんな疑問がある人はぜひこの記事を読んでください。

読み終わった頃には経営者の年収が分かるだけでなく、実際に開業する時のイメージが湧くと思います。

最後までご覧ください。


訪問介護の経営者の年収はどのくらいか

訪問介護の経営者の年収について正確なデータがある資料は現在ありません。

しかし、平均した年収は400-800万円とされています。


この年収幅は事業の規模や地域によって大きく左右され、都市部では訪問介護の需要が高く、経営者の年収が上がりやすいとされています。

地方では需要が限られているため、年収が低めになることが多いです。


訪問介護の経営者の仕事内容

訪問介護の経営者は、介護事業の全体的な運営と管理を担い、多岐にわたる業務を行います。

単に介護サービスを提供するだけでなく、事業の成長のために意思決定を行い、組織全体をサポートしていく必要があります。


以下は訪問介護の経営者が日常的に行う仕事内容です。

  • 経営戦略の立案と実行
  • 顧客対応とサービス品質の管理
  • 財務管理と収益確保
  • 法規制の遵守とリスク管理


それぞれについて詳しく解説していきます。


経営戦略の立案と実行

訪問介護事業を安定的に運営するために、経営戦略を明確にする必要があります。

経営者は事業を進めていく上で顧客のニーズを把握し、短期的または長期的な目標を設定していきます。


また、市場の状況によっては事業拡大や新しいサービスの導入を検討することも求められます。

例えば、介護保険外の自費サービスや、リハビリサービスの導入などです。


定期的に見直しを行い、長期的な視点を持って取り組んで行くことが重要になります。


顧客対応とサービス品質の管理

訪問介護事業は利用者に対するサービスの質が事業の成功を大きく左右します。

そのため、経営者は顧客対応とサービス品質の管理を進めていく必要があります。


行う際は、経営者目線の意見だけでなく現場職員や利用者の意見も取り入れていくことが重要です。

自身がそこまで重要でないと考えていたことが、利用者にとっては重要ということも少なくありません。


利用者の意見を最大限考慮していくようにしましょう。

満足度を高めるための施策を実施し、長期的な信頼関係を築くことが事業の成長につながります​。


財務管理と収益確保

経営者は事業の財務面を管理し、収益を確保していく責任があります。

売上や支出を管理し、財務上で経営を維持していくことが求められるのです。


介護報酬や加算制度を適切に活用し、事業の利益を最大化するための工夫も必要になってきます。

例えば、ICT(情報通信技術)を活用して業務の効率化を図ることで、人件費の削減やサービス提供の質の向上を実現し、事業の収益性を高めるなどの対策を考案していく必要があります。


法規制の遵守とリスク管理

介護業界には多くの法規制が存在するため、経営者はそれらを遵守していく必要があります。

そのために介護保険法や労働基準法など、法的な要件を満たすための体制を整えることが求められます。


また、コンプライアンスの確保やリスク管理、事業継続計画(BCP)の策定など、リスクに対応するための準備も重要です。

こうした法規制の変更や制度の見直しが事業運営に与える影響を常に把握し、迅速に対応することが求められます。​


訪問介護の将来性

訪問介護の経営者を目指していくためには、その業界の将来性を知ることも重要です。

ここからは訪問介護の将来性について紹介していきます。

訪問介護の倒産率と必要事業者数を参考にしながら、確認していきましょう。


訪問介護の倒産率

株式会社東京商工リサーチの調査結果によると、2023年の「訪問介護事業者」の倒産が12月15日までに60件に達し、これまで年間最多だった2019年の58件を抜き、年間最多を更新したことが分かりました。


訪問介護の倒産率は増えてきているのです。

またこの原因としては

  • ヘルパー不足
  • 物価高
  • 競合の激化

を挙げています。


物価高に対して対策は難しいですが、「ヘルパー不足」や「競合の激化」は対処可能です。

どちらに対しても介護事業所の強みを宣伝していくことで解決することができるでしょう。


出典:株式会社東京商工リサーチ「2023年の「訪問介護事業者」倒産が 60件に急増  ヘルパー不足や物価高、競合で過去最多を更新」


訪問介護の必要事業者数

訪問介護事業所の倒産率は増えてきていますが、それでも訪問介護の必要性は増加すると考えられます。

高齢化の進行や介護保険制度の改正などがその要因として挙げられるでしょう。


内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上と更に高齢化は進むとされています。

それに伴い訪問介護の必要性が高まる可能性があります。


介護業界は競合が増え続けていることには変わりありませんので、強みを活かした訪問介護の経営を行っていく必要があります。


出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」


訪問介護を開業するまでの流れ

実際に訪問介護を開業する場合の流れを紹介していきます。

流れとしては以下の通りです。

  • 法人格の取得
  • 物件や設備の準備
  • 人員の確保
  • 指定申請


それぞれについて詳しく解説していきます。


法人格の取得

個人事業主では訪問介護の開業が難しいため、法人を立ち上げる必要があります。

介護サービス事業所における指定拒否の要件として「法人でないとき」と記されています。

出典:厚生労働省「事業所規制の現状について」


法人といってもいくつか種類があります。

  • 株式会社
  • 合同法人
  • NPO法人


それぞれに特徴がありますので、表で確認してみてください。

法人の種類

特徴

メリット

デメリット

株式会社

営利目的の会社形態

社会的信用が高い

設立費用が高い

合同会社

営利目的の会社形態

設立費用が安い

社会的信用が低い

NPO法人

非営利目的の会社形態

設立費用が安い

必要役員数が多い


気軽に開業したいと考えている方は合同会社、事業を拡大させたいという人は株式会社が適しています。


物件や設備の準備

訪問介護の開業のためには設備・備品の基準も満たす必要があります。

​​指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準では以下の内容が記載されています。


第七条 (設備及び備品等)

指定訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けるほか、指定訪問介護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。

出典:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」


横浜市のガイドラインを参考に詳細を説明していきます。


訪問介護事業所に必要な設備としては

  • 事務室
  • 相談室
  • 手指消毒設備
  • 鍵付書庫
  • 電話
  • FAX
  • コピー機
  • パソコン

が挙げられています。

事務室や相談室に関しては広さや机の数など更に細かい設備条件が決められています。


出典:横浜市健康福祉局介護事業指導課「居宅サービス事業等における設備等ガイドライン」


自治体によってルールが異なる場合がありますので、一度確認するようにしましょう。


また、訪問介護では移動手段が必須です。

開業してから困らないように早めから自転車やバイク、自動車の準備が必要になるでしょう。


人員の確保

人員も訪問介護を開業する基準の一つであるため、欠かすことはできません。


訪問介護では

  • 訪問介護職員
  • サービス提供責任者
  • 管理者

の配置が必要になります。


開業直前に資格者を募集しようとしてもなかなか集まりません。

自身で資格を取得しておくか、早めからの人員確保を目指しましょう。


訪問介護には「人員基準」というものが定められており、管理者とサービス提供責任者、訪問介護員の3つの役職の人数が最低でも3名は必要になります。

これらの役職には資格要件があり、介護福祉士などの資格保有者を確保しなければいけません。


また、訪問介護は利用者と直に接する仕事なので、どんな人とも上手く接することができるコミュニケーション能力や臨機応変に対応できる力などが求められます。

資格保有者というだけでなく、訪問介護に適した人材であるかという点にも注意して採用を進めることが大切です。


指定申請

訪問介護を開業するには、厚生労働省から訪問介護事業者としての指定を受けなければいけません。

指定申請には以下の書類が必要で、審査を受ける必要があります。


  • 訪問介護事業の認定申請書
  • 登記簿謄本
  • 決算書や貸借対照表、事業計画書
  • 従業員の雇用契約書や履歴書、資格証の写し
  • 訪問介護事業所の図面や写真
  • 運営規定
  • 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  • 誓約書及び誓約書別紙
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書


申請が審査に通ると、6年間は事業者として認められ、サービスの提供ができるようになります。


訪問介護を開業するのに必要な資金

訪問介護を開業するためには多くの資金が必要です。

具体的にどんなところで資金が必要なのか紹介していきます。

開業前と開業後に必要な資金を分けましたので、参考にしてみてください。


開業前に必要な資金

開業前に必要な資金は以下の通りです。

  • 法人設立費用
  • 物件の取得費用
  • 設備・備品の購入費


それぞれについて紹介していきます。


法人設立費用

法人設立に係る費用として、登録免許税や収入印紙、定款の認証手数料などが必要です。

それらを合わせて、株式会社で約25万円、合同会社で約10万円の費用がかかります。


物件の取得費用

事業所として使用する物件の取得費用がかかります。


賃貸で契約する場合は、

  • 物件の契約料
  • 敷金
  • 礼金
  • 保証金
  • 開業日までの家賃

などが物件の取得にかかる費用になります。


立地などによって異なりますが、30〜100万円ほどは見込んでおきましょう。

自宅を事務所として使用する場合は費用を抑えることができます。

その場合は、設備に対する基準を満たしているか注意が必要です。


設備・備品の購入費

訪問介護事務所を運営するために必要となる備品の購入費用です。


備品としては、

  • 電話機やFAX
  • パソコン
  • プリンターやコピー機
  • 鍵付き書庫
  • 事務デスク
  • イス
  • 事務用品

などが必要になります。


移動手段として車両が必要な場合は、新車で100〜200万円程度プラスでかかります。


開業後に必要な資金

開業後に必要な資金は以下の通りです。

  • 人件費
  • 家賃や駐車場代
  • その他の経費


それぞれについて紹介していきます。


人件費

従業員を雇う費用として人件費がかかります。

常勤(日勤)介護職員の給料相場は31万4,590円とされており、人数によって変わってきます。

出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」


介護報酬は翌月請求で支払いが翌々月なので、人件費2~3か月分はあらかじめ用意しておきましょう。


家賃や駐車場代

事務所を賃貸している場合は、契約費用以外に家賃がかかります。

また、駐車場を借りている場合は駐車場代も必要です。


その他の経費

訪問介護の開業後はさまざまな経費がかかります。

  • 光熱費
  • 電話料金
  • 通信費
  • 消耗品費
  • 広告費
  • 交通費

などが発生します。


「開業してから資金不足」なんてならないように計画的な資金準備をしましょう。


訪問介護の開業に失敗しやすい原因と対策

訪問介護の需要が高まっていますが、その一方で開業に失敗するケースも増えてきています。

失敗する原因として以下の3つが挙げられます。

  • 開業資金の不足
  • 人員不足
  • 営業力の不足


それぞれについて詳しく解説していきます。

また解決策についても記載していますので、参考にしてみてください。


開業資金の不足

訪問介護の開業には「訪問介護を開業するのに必要な資金」でも述べたように大きな資金が必要です。

開業エリアや規模にもよりますが、500〜1000万円程度かかります。


事前に必要資金を計算して集めていたとしても、採用費など思わぬ経費がかかる可能性もあります。

その結果、開業後の資金繰りが上手くいかず、経営困難になるということは珍しくありません。


また、異業種から訪問介護事業所を立ち上げた場合、採用や営業活動に苦戦する方も多く、採用や新規利用者獲得のための広告費が膨れ上がってしまうことも珍しくありません。

銀行や信用金庫からの融資はもちろんですが、開業前には十分に必要資金を確認するようにしましょう。


人員不足

人手不足も訪問介護の開業でよくある失敗の原因になります。

訪問介護では利用者の介護をすることで収益を得ます。

介護職員の人手不足ではサービスを提供することができず、収益を得ることもできないのです。


例え、職員を増やすことができたとしても、離職率が高い業界ですので長続きするかは分かりません。

新たな職員を募集しようと思っても業界全体が人手不足であるため、なかなか人が集まらないのです。


対策としては

  • 働きたいと思えるような給料や福利厚生を設定すること
  • 離職率を下げるような働きやすい職場をつくること

が重要になってきます。


営業力の不足

営業力の不足で訪問介護の開業に失敗するケースも多いです。

訪問介護の開業を考える人も多く、競争が激しくなってきています。

営業が上手くいかないとサービス利用者が集まらず、訪問介護を継続することができません。


訪問介護が開業したことを知ってもらえるように積極的な営業が必要になります。

他のサービスにはなく、自社特有の強みを提示することで利用者獲得につながります。

まとめ

訪問介護の経営者の年収について正確なデータがある資料は現在ありません。

しかし、平均した年収は400-800万円とされています。


訪問介護の倒産率は上がったりしていますが、必要数も増加しています。

訪問介護の経営者の年収とやりがいを比較して、自分の将来を考えていきましょう。


監修者

森永 大樹のプロフィール写真

森永 大樹

エジスト株式会社 代表取締役

2018年大学卒業後、レバレジーズ株式会社に入社し、介護事業部の営業を担当。2020年に退職後、エジスト株式会社を設立し、介護・医療業界特化メディア、採用支援サービスのケアプラを運営する。

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