小さい介護施設経営の成功ポイントを徹底解説!破綻してしまう原因も紹介

「小さい介護施設を経営するための方法や必要なスキル、知識などを知りたい」
「介護施設が潰れる理由や将来性について知りたい」
介護施設を経営している方のなかには、上記の悩みを持っている方が多いです。
今回は、小さい介護施設経営の成功ポイントについて解説します。記事を読めば、介護施設の経営に成功するための具体的な方法について理解できますので、最後までご覧ください。
小さい介護施設の経営状況は?
ここでは、介護施設の経営状況について紹介していきます。
倒産件数が急増!原因は人材不足と物価の上昇
2024年に入ってから、介護事業者の倒産が急増しています。主な原因は、介護職員の不足と物価の上昇です。2024年1-5月の倒産件数は72件で、前年より75.6%も増えました。これは過去最多だった2020年の58件を上回っています。
特に「訪問介護」の倒産が34件、「通所・短期入所」が22件、「有料老人ホーム」が9件で、いずれも過去最多を超えました。介護報酬が少し上がっても、人手不足やコスト増加に追いついていない状況です。倒産した72件のうち、従業員10人未満の施設が55件(同76.3%)であり、事業継続を断念する小規模事業者が多いことがわかりました。

出典:株式会社東京商工リサーチ「2024年1‐5月の「介護事業者」の倒産 72件に急増 上半期の過去最高を上回る、深刻な人手不足と物価高」
介護施設経営の収支について
ここでは、介護施設経営の収支について紹介します。
収入
介護施設の主な収入について、以下の表にまとめました。
収入 | 備考 |
介護報酬 | 介護度によって異なる |
食費 | 物価上昇により値上げする施設も多い |
家賃 | 入居施設型の場合 |
入居一時金 | 入居一時金を0円に設定している施設もある |
光熱費 | 物価上昇により値上げ傾向 |
独自サービス費 | 介護保険外サービスを行っている場合 |
支出
介護施設の支出について、以下の表にまとめました。
支出項目 | 内容 |
人件費 | 介護スタッフの給与や福利厚生費 |
施設の維持管理費 | 建物の修繕費や光熱費、保険料など |
医療介護機器の購入費 | 機器の購入やメンテナンス費用 |
運営費 | 消耗品費など |
安定した運営を継続するには、収入が支出を上回っている必要があります。物価上昇の影響を受ける中、介護報酬の大きな改善は期待できません。支出を可能な限り削減しつつ、稼働率を向上させ、利益を確保していく必要があります。
小規模でも経営できる介護施設の種類
ここでは、小規模でも経営できる介護施設の種類を5つ紹介します。具体的には、
- 小規模多機能型居宅介護
- グループホーム
- 小規模特別養護老人ホーム(特養)
- デイサービス
- ショートステイ
の5つです。それでは順番に紹介していきます。
小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、地域密着型の介護サービスです。利用者は、自宅での生活を続けながら、必要に応じて通所、訪問介護、ショートステイなどを組み合わせて受けられます。慣れ親しんだ自宅での生活を維持しつつ、必要なサポートを受けられるため、安心感があります。
サービス運営には、地域との連携が欠かせません。地域イベントへの参加などを通じて地域に貢献し、信頼を築くことが重要です。
グループホーム
グループホームは、認知症の高齢者を対象に、家庭的な環境で介護を提供する入居型施設です。少人数での運営となるため、大規模施設に比べて初期投資が少なくて済みます。一方では、優秀な介護スタッフを確保するのが難しい点や、運営コストが高くなりがちであるなどの課題点もあります。また、認知症高齢者に対する専門的なケアが求められるため、スタッフの教育や研修が重要です。
小規模特別養護老人ホーム(特養)
小規模特別養護老人ホームは、「特別養護老人ホーム」と同様の介護サービスを提供する施設です。規模が小さいことが特徴で、入居者数は原則として29名以下となります。家庭的な雰囲気の中で、個別ニーズに応じた介護や生活支援を受けられます。また、地域密着型の施設であるため、地域の人々との交流が活発に行われています。
デイサービス
デイサービスセンターは、日帰りで利用者を受け入れ、食事や入浴、リハビリテーションなどの日常生活をサポートする施設のことです。利用者が自宅に帰ることを前提としているため、宿泊施設や24時間体制のスタッフが不要であるというメリットがあります。また、デイサービスは、リハビリや認知症などに特化している施設も多いです。施設が生き残るためには、利用者のニーズに応じた柔軟なサービス提供が求められます。
ショートステイ
ショートステイは、短期間だけ利用者を受け入れる介護サービスです。自宅での介護が、一時的に困難な場合や、介護者のレスパイト(休息)を目的としています。ショートステイの導入により、施設の稼働率は向上します。空きベッドを有効活用し、施設全体の収益性を高めることが可能です。
小さい介護施設を経営するメリット・デメリット
ここでは、小規模の介護施設を経営するメリット・デメリットについて紹介いたします。
メリット
小規模の介護施設を経営するメリットは以下の3つです。具体的には、
- 長期的に安定した収入を得られる
- 補助金や助成金制度がある
- ニーズが高く将来性がある
の3つです。それでは順番に解説していきます。
長期的に安定した収入を得られる
介護施設の経営では、長期的に安定した収入が期待できます。高齢者の人口割合は増加する傾向にあり、介護ニーズは拡大しているからです。少人数の施設でも、スタッフ教育を行き届かせ、高品質なケアを提供すれば、利用者やケアマネジャーからの信頼を得られます。介護サービスは、必要不可欠なものであり、景気の影響を受けにくいため、長期的な収入の安定性が高いです。
補助金や助成金制度がある
介護施設を経営する際には、補助金や助成金制度の活用が重要です。これらの制度を上手に利用することで、経営の安定化や施設設備のメンテナンスが期待できます。介護関連の補助金や助成金は、多くの種類が用意されています。
例えば、人材確保等支援助成金があります。これは介護職の離職を減らし、働きやすい職場づくりを目的とした助成金です。受給するためには計画書を作成し提出し、所定の条件を満たす必要があります。また、設備を導入するための補助金としてICT導入補助金があります。これは業務効率化のためにITツールを導入するためのもので、サポート費用や設定費用も補助の対象となります。これらの制度を積極的に利用し、施設運営の質を向上させていきましょう。
出典:KONICA MINOLTA「介護事業で受けられる助成金とは?種類や申請方法について解説」
ニーズが高く将来性がある
介護業界では、施設のニーズが高まっています。高齢化社会が進む中で、家庭的な雰囲気や個別ケアを重視する小規模施設が求められています。
前述した補助金や助成金制度を活用すれば、経営の安定化が図れます。適切な経営戦略を立て、地域のニーズをしっかりと把握することで、長期的に安定した経営が期待できます。
デメリット
ここでは、小さい介護施設を経営するデメリット3つについて紹介します。具体的には、
- 初期投資額が大きい
- 転用しにくい
- 人材確保に苦労する
の3つです。それでは順番に解説していきます。
初期投資額が大きい
たとえ小規模であっても、介護施設の開設には初期投資額が大きくなるという課題があります。介護施設を立ち上げるには、物件の取得費用や改装費用、必要な設備の購入費用などが必要です。特に、介護施設は定められた特殊な設備や安全基準を満たす必要があるため、他の業種に比べて初期費用が高くなる傾向があります。
例えば、デイサービスでは、食堂や機能訓練を行う場所について、合計面積が1人あたり3㎡以上であることが条件です。また、相談室の設置も義務付けられています。さらに、施設の改装やリフォームにかかる費用も無視できません。これらの費用を賄うためには、自己資金だけでなく、銀行からの融資や補助金の活用が不可欠です。資金計画を立て、必要に応じて外部資金を適切に活用することが求められます。
出典:厚生労働省「通所介護及び療養通所介護(P.2)
転用しにくい
介護施設には、その特性上、他の用途に転用しにくいというデメリットがあります。これは、介護施設が特定の設備やレイアウトを備えているためです。法令で間取りなどが指定されているため、一般的な建物とは異なるレイアウトになっていることもあります。同規模の施設に転用できる事業が見つからない場合、大規模な改装が必要となることもあるのです。
人材確保に苦労する
介護施設を経営する際、人材確保は大きな課題です。介護業界全体で、人手不足が深刻化しており、常に人材を探さなければならない状況が続いています。特に、小規模な施設では大規模施設に比べて、給与や福利厚生の面で競争力が劣ることも珍しくありません。大規模施設は、豊富な資金を持っているため、高い給与や充実した福利厚生を提供しやすい傾向にあるのです。
また、地域によっては介護職の求人自体が少なく、人材の供給が追いつかないケースもあります。このような状況を踏まえ、人材確保について適切な対策を講じることが、介護施設の経営成功には欠かせません。
小さい介護施設が経営破綻する原因
ここでは、小さい介護施設が経営破綻してしまう原因について3つを紹介します。具体的には、
- 独自性を出しづらく集客が難しいから
- 優秀な介護スタッフを確保しにくいから
- 介護報酬改定に対応しきれないから
の3つです。それでは順番に解説していきます。
独自性を出しづらく集客が難しいから
小さい介護施設は、独自性を出しづらく、その結果、集客に苦しんでいるケースも多くみられます。介護施設は競合も多く、利用者や家族が選択肢を比較検討する際に、目立つ特徴がないと選ばれにくいからです。
よって、小さい介護施設は、独自の魅力を打ち出すことが重要です。たとえば、リハビリや認知症対応などの専門的ケアに特化していることをアピールすることで、集客力を高めることが求められます。
優秀な介護スタッフを確保しにくいから
優秀な介護スタッフの確保が難しいという課題もあります。介護業界においても、人手不足が深刻化している現状です。小規模施設は、大規模施設に比べて給与や福利厚生の面で劣るケースもあり、優秀な人材を引きつけるのが難しくなっています。
介護スタッフを確保し、定着率を向上させるには、働きやすい環境を整え、地域に密着した施設としての魅力を高めることが必要です。
介護報酬改定に対応しきれないから
介護報酬改定に対応しきれず、経営破綻してしまう介護施設も多いのが現状です。介護報酬改定により、収益構造が大きく変わる場合があります。例えば、令和6年度の介護報酬改定では、訪問介護の報酬が引き下げられました。小規模な介護施設の中には、報酬変更に柔軟に対応できず、経営破綻に至るケースも見られます。
さらに、報酬改定に対応するためには、準備やスタッフの研修が必要です。しかし、小規模な介護施設では、これらに対処するための費用や時間が不足しがちです。その結果、施設の競争力が低下し、最悪の場合、経営破綻に繋がることがあります。
小さい介護施設が経営で成功するためにできること
ここでは、小さい介護施設が経営で成功するためにできること4つを紹介します。具体的には、
- 競合施設をリサーチし独自性を持つ
- ICTを活用して効率化する
- 地域貢献を通じて信頼を得る
- 介護スタッフを確保し満足度を高める
の4つです。それでは順番に解説していきます。
競合施設をリサーチし独自性を持つ
小さい介護施設の運営に成功するには、競合施設をリサーチし独自性を確立することが不可欠です。競合施設のリサーチは、自施設のポジションを把握するための重要なステップです。地域内の他の介護施設がどのようなサービスを提供し、どのように差別化を図っているのかを詳細に調べる必要があります。
例えば、「機器を使用してリハビリプログラムを提供する施設」や、「地域イベントに積極的に参加している施設」などがあります。リサーチ結果を参考にして、自施設の独自の特徴を打ち出しましょう。例えば、健康プログラムの導入や、外出イベントを多く取り入れたレクリエーションの提供などが考えられます。他施設との差別化を明確にすることで、口コミや紹介による新規利用者の増加が期待できます。独自性を打ち出すことは、小さい介護施設が長期的に安定した経営を続けるための重要な戦略です。
ICTを活用して効率化する
介護施設の経営で成功するには、ICT(情報通信技術)を活用して業務を効率化することも重要です。ICTの導入により、業務の自動化や情報共有が円滑になり、施設全体の運営・業務効率が向上します。
ここでは、具体的なICT活用方法について説明します。
電子カルテシステム
電子カルテシステムの導入により、介護記録の管理が大幅に効率化されます。従来の紙ベースの記録では、情報の検索や共有に時間がかかり、ヒューマンエラーのリスクも高い傾向にあります。電子カルテを使えば、必要な情報をすぐに検索でき、スタッフ間でリアルタイムに共有することが可能です。記録作成が迅速に行えるため、介護サービスの質の向上につながります。
見守りシステムの導入
見守りシステムの導入は、利用者の安全を確保しつつ、スタッフの負担軽減につながります。センサーやカメラを使って利用者の動きをリアルタイムで監視し、異常があれば即座にアラートを発信します。夜間や人手が不足しがちな時間帯でも、スタッフは安心して仕事に取り組むことが可能です。利用者の安全だけでなく、スタッフの満足度向上の効果も期待できます。
タブレット端末の活用
タブレット端末を使うことで、介護スタッフの業務効率が向上します。例えば、タブレット端末を活用してその場で介護記録を入力したり、ケアプランを確認したりすることが可能です。また、施設内のどこからでも情報にアクセスできるため、情報共有がスムーズに行えます。さらに、オンラインでの研修や会議もタブレットを通じてできるため、スタッフのスキル向上やコミュニケーションの円滑化も期待できるのです。
地域貢献を通じて信頼を得る
小規模の介護施設経営において、地域貢献は欠かせません。地域に根ざした活動を通じて、施設の信頼性を高めることが重要です。具体的には、地域イベントへの参加や健康体操、認知症の勉強会開催などのボランティア活動の実施が効果的です。これにより、地域住民とのつながりが深まり、施設への信頼感が高まります。
地域貢献を進めることで、施設の認知度が向上します。信頼関係が構築されると、口コミや紹介を通じて新たな利用者が増えることも期待できます。
介護スタッフを確保し満足度を高める
介護施設の経営を成功させるためには、優秀な介護スタッフを確保し、満足度を向上させることが欠かせません。スタッフが充実していれば、介護サービスの質も向上し、施設全体の評価が高まり稼働率にも反映します。
以下に、介護スタッフの確保と満足度向上のための具体的な方法を紹介します。
働きやすい環境を整える
介護スタッフが働きやすい環境を整えることは重要です。労働環境が整っていれば、スタッフの仕事への満足度が高まり、離職率も低くなります。具体的には、無理のないシフトや残業時間、休暇の取りやすさを確保することが重要です。働きやすい環境を実現することで、スタッフにとって魅力的な職場となり、優秀な人材を確保しやすくなります。
教育・研修制度を充実させる
介護スタッフのスキル向上を図るために、教育や研修制度を充実させることも必要です。具体的には、新人研修や定期的な研修を行うことで、スタッフの知識・技術を高められます。また、資格取得支援制度を導入することで、スタッフが自らの成長を意識し、やりがいを感じるようになります。教育や研修制度を充実させることで、スタッフのモチベーションが向上し、施設全体の介護サービスの質が向上します。
職場の魅力を発信する
介護施設の魅力を外部に発信することも、スタッフの確保につながります。具体的には、ホームページやSNSを活用して、職場の雰囲気やスタッフの声、日々の活動内容を積極的に発信することが有効です。
また、地域イベントに参加したり、勉強会や見学会を開催することで、求職者や地域住民へ施設の魅力をアピールできます。これらの活動により、地域とのつながりが深まり、新規利用者の獲得も期待できるのです。
まとめ
介護施設を経営するには、しっかりとした経営戦略が求められます。
小さい介護施設の利点として、地域密着型のサービスを提供できる点があります。地域イベントに参加したり、勉強会を開催することで、地域住民との信頼関係を築くことが可能です。また、補助金や助成金制度を活用すれば、経営の安定にもつながります。
一方、デメリットとしては、初期投資額が大きいことや人材確保の難しさが挙げられます。特に、小規模な施設では、人材の確保と定着が課題となります。そのため、働きやすい環境を整え、教育・研修制度を充実させることが重要です。
経営で成功するには、独自性を持ったサービスを提供し、競合施設との差別化を図ることも欠かせません。また、ICTを活用して業務の効率化を図り、介護スタッフの負担を軽減することも重要です。地域との連携を強化し、施設の魅力を発信することで、利用者を確保し、稼働率を向上させることが期待できます。


