有料老人ホームの入居者獲得|営業戦略と3段階で見る詰まりの直し方

空室が埋まりません。紹介事業者にも登録し、ホームページも作り直したのに、問い合わせの数が戻りません。営業に回る時間も限られていて、次に何を直せばよいのか決めきれません。有料老人ホームを運営される法人様からは、この形のお悩みを伺うことが多くあります。
この記事では、入居者獲得を問い合わせ・見学・入居決定の3段階に分け、どこで止まっているかを切り分けるところから整理します。打ち手の一覧ではなく、直す場所の決め方が主題です。医療介護福祉の法人様に特化して、採用支援・SNS運用代行・ホームページ制作をご支援しているケアプラが、入居に関わる4者の見ている情報から、経路ごとの回り方、月に一度数える数字までをお伝えします。
この記事の結論は次の3点です。
- 「入居が決まらない」は、①問い合わせが来ない ②見学に至らない ③見学後に決まらないの3段階に分かれます
- 段階が違えば手を入れる場所も変わるため、同じ施策を足しても動かないことがあります
- まず過去3ヶ月の問い合わせ数・見学数・入居決定数を数え、どこで落ちているかを確かめます
3段階それぞれで先に見る場所は、次の表1にまとめています。
「入居が決まらない」は、3段階のどこで止まっているかで直す場所が変わります
入居が決まらない状態は、問い合わせ・見学・入居決定の3段階のどこかで止まっています。段階を特定してから打ち手を選ぶと、どこに費用と時間を使うかを決めやすくなります。
空室が続くと、広告を出す、紹介事業者を増やす、ホームページを作り直す、といった打ち手が同時に検討されます。ただし、この3つは効く段階が違います。問い合わせの電話自体が鳴っていない施設と、見学まで来ているのに決まらない施設では、直すべき場所が別です。判断材料は、過去3ヶ月の問い合わせ数・見学数・入居決定数です。数えていない場合は、相談記録や見学の予約表から遡って数えます。

表1|入居が決まらないときの3段階と、先に見る場所
段階 | 症状 | 先に見る場所 | 最初の打ち手 |
|---|---|---|---|
①問い合わせが来ない | 電話・フォームの入電自体が少ない。紹介の連絡も来ない | 見つけてもらえているか(ホームページ・地図・空き情報)/受けられているか(電話の応答・返信までの時間) | 空き情報の更新日を直し、日中に電話を取れる体制を決める |
②見学に至らない | 問い合わせはあるが、見学の日程が決まらないまま終わる | 最初の返答で伝えている情報の量と、日程の出し方 | 初回の返答で費用の内訳と空き状況、見学候補日を一度に伝える |
③見学後に決まらない | 見学までは来るが、その後に連絡が途絶える | 費用の説明・入居後の生活の具体像・医療的ケアの可否の3点が揃っているか | 見学時の配布物を揃え、見学後の連絡の担当と時期を決める |
3段階のどこで止まっているかが分かると、必要な作業がはっきりします。①なら情報の出し方と受付体制、②なら初回の返答の中身、③なら見学の設計と追いかけの手順です。段階を決めずに施策を足すと、止まっていない段階に手を入れてしまうことがあります。
なお、入居相談が届く経路そのものの地図(紹介経路と自力経路の2系統をどう持つか、主経路をどう数えるか)は、介護事業所の集客|紹介経路と自力経路の分け方で整理しています。本記事は、そのなかでも有料老人ホーム・住宅型有料老人ホームに固有の事情と、3段階の切り分けを扱います。
この記事で扱う範囲
本記事が扱うのは、入居者の獲得に関する部分だけです。職員の採用と収支計画は別のテーマのため、ここでは踏み込みません。
- 扱うもの:入居相談が届く経路、入居に関わる人が見ている情報、3段階ごとの詰まりの外し方、月に一度数える数字
- 扱わないもの:職員採用・人員配置、収支計画と報酬の仕組み、稼働率という指標そのものの定義
種別ごとの制度や収支の考え方は、介護付き有料老人ホームの経営をあわせてご覧ください。
有料老人ホームの入居は、ご本人・ご家族・ケアマネジャー・病院の4者が関わります
入居を決めるのはご本人だけではありません。ご家族・ケアマネジャー・病院の退院支援が関わり、それぞれ見ている情報が異なります。誰に向けた情報が用意できているかは、4者それぞれで分けて見ていきます。
在宅系のサービスと入居系で大きく違うのは、意思決定に関わる人数です。入居は住まいを移す判断のため、費用を負担するご家族、在宅での生活を見てきたケアマネジャー、退院先を探す病院の担当者が、それぞれの立場から関わります。ご家族は費用と雰囲気を見ますが、病院の退院支援担当者が見るのは「この状態の方を受け入れてもらえるか」です。片方にしか答えていない情報しか出していない場合は、もう一方の経路に必要な情報が揃っているかを見ます。

表2|入居に関わる4者と、見ている情報
登場人物 | いつ関わるか | 見ていると考えられる情報 | 施設側が用意するもの |
|---|---|---|---|
ご本人 | 見学・面談の場面 | 居室の広さ、食事、1日の過ごし方、ほかの入居者の様子 | 居室と共用部の写真、1日の流れが分かる説明 |
ご家族 | 検討の初期から契約まで | 月額費用の内訳、入居一時金の有無、場所と面会のしやすさ、施設の雰囲気 | 費用の内訳表、アクセス、職員と暮らしが分かる写真・文章 |
ケアマネジャー | 在宅での生活が続けにくくなったとき | 空き状況、対応できる医療的ケアの範囲、要介護度の受け入れ条件、連絡の取りやすさ | 更新日の入った空き情報、受け入れ条件の一覧、担当窓口と連絡先 |
病院の地域連携室・退院支援 | 退院の見通しが立った時点 | 退院日に間に合うか、医療的ケアへの対応可否、判断の早さ | 受け入れ可否を返す期限の目安、当日連絡が取れる窓口 |
4者のうち誰かひとつの情報が欠けている場合、その経路の相談元には判断材料が届いていません。たとえば、費用の説明はホームページに載っている一方で、受け入れ条件の一覧が見当たらない、という状態が起こりえます。これは、ご家族の検索には答えられていても、ケアマネジャーや病院には答えられていない状態です。
ご家族がスマートフォンで確かめていること
ご家族が施設を訪ねる前にスマートフォンで確かめるのは、費用の内訳・空き状況・場所・雰囲気の4つです。
- 費用の内訳:月額に何が含まれ、何が別途かかるか。入居一時金の有無と返還の考え方
- 空き状況:今、部屋があるのか。情報の更新日が入っていないと、現在の状況が読み取れません
- 場所:自宅や勤務先からの距離、面会に通える交通手段
- 雰囲気:居室と共用部の写真、職員の様子、食事の内容
この4つに答えがないまま電話をかけるのは、ご家族にとって負担の大きい行動です。書いていない項目が多いほど、問い合わせの前に判断できる材料が少なくなります。この4つが揃っていると、見学前の比較でご家族が確かめる項目に、ページ上で答えられる状態になります。
ケアマネジャー・病院が確かめているのは「受け入れられる状態か」
ケアマネジャーと病院の担当者が確かめるのは、施設の雰囲気よりも、対応できる医療的ケアの範囲、空き情報の鮮度、連絡の取りやすさの3点だと考えられます。
担当者は複数の候補に同時に連絡を取ります。その場で受け入れ可否の見通しを返せるかどうかは、次に声をかけてもらえるかに関わる部分です。とくに退院支援は日程が決まっているため、返答までの時間が検討に影響します。
そのために用意しておきたいものが3つあります。
- 対応できる医療的ケアの一覧(可・条件つき可・不可の3区分で書く)
- 空き情報とその更新日(日付の添え方は後述の「①-1 見つかるか」で扱います)
- 日中につながる窓口と、受け入れ可否を返すまでの目安日数
なお、ケアマネジャーや病院へ実際に訪問して関係をつくり、記録を取り、報告を返すという営業の実務そのものは、ケアマネジャーからの紹介獲得|訪問・記録・報告の回し方で扱っています。本記事では、入居系で追加になる点だけを次の章で整理します。
入居系は経路の構成が変わります|営業先と、経路ごとの回り方
在宅系との違いは、入居相談の窓口・紹介事業者と、ご家族による検索が経路に加わる点です。入居系では、紹介と自力の両方を同時に持つという組み立て方ができます。
経路を紹介系と自力系の2系統に分けて考える方法と、自施設の主経路の数え方は、ピラー記事の介護事業所の集客|紹介経路と自力経路の分け方にまとめています。ここでは、入居系でどこが変わるかに絞ります。
入居系では、相談の入口が在宅系のようにケアマネジャーへ集まるとは限りません。入居系ではここに、入居相談の窓口・紹介事業者と、ご家族が自分で検索して直接連絡してくる経路が加わります。

表3|入居相談が届く4つの経路と、入居系ならではの注意点
経路 | 届く相談の傾向 | 施設側が用意するもの | 入居系ならではの注意点 |
|---|---|---|---|
ケアマネジャーからの紹介 | 在宅での生活が続けにくくなった方。検討の期間は比較的長い | 受け入れ条件の一覧、更新日つきの空き情報 | 在宅から入居への切り替え時期はご家族の判断を待つ形になりやすい |
病院の地域連携室・退院支援からの紹介 | 退院日が決まっている方。医療的ケアを伴うことがある | 医療的ケアの対応範囲、可否を返す期限の目安 | 日程が先に決まっているため、返答までの時間が検討に影響しやすい |
入居相談の窓口・紹介事業者 | ご家族からの相談を経由して届く。複数施設が同時に比較される | 最新の空室情報、費用の内訳、受け入れ条件 | 契約条件の確認が必要。自施設の情報を自分で更新できる体制があるかを確認する |
検索・ポータルサイト(ご家族の直接連絡) | ご家族が自分で調べて連絡してくる。費用と場所が先に比較されている | 費用の内訳、写真、アクセス、問い合わせ窓口 | 平日の日中以外に連絡が来ることがあり、その時間帯の受付体制を決めておく |
4つのうち、どこから何件来ているかは施設ごとに異なります。まずは過去1年の入居がどの経路から来たかを数え、そのうえで足りない経路に手を入れます。
入居系の営業先の回り方
入居系で回る先として挙げられるのは、病院の地域連携室・退院支援、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターの3つです。それぞれ相談が発生するタイミングが違うため、伝える内容も変えます。
- 病院の地域連携室・退院支援:退院の見通しが立った時点で候補を探しています。医療的ケアの対応範囲と、受け入れ可否を返すまでの日数を先に伝えます
- 居宅介護支援事業所:在宅での生活が続けにくくなった方の相談元です。要介護度ごとの受け入れ条件と、現在の空き状況を伝えます
- 地域包括支援センター:地域の相談窓口として、ご家族から直接相談を受ける立場です。施設の種別と費用帯、対応できる状態像を伝えます
3つとも、一度の訪問で終わらせず、空き状況が変わったタイミングで情報を更新して届ける、という進め方があります。訪問した記録をどう残し、どの頻度で報告を返すかという実務の設計は、ケアマネジャーからの紹介獲得|訪問・記録・報告の回し方で扱っています。
入居相談の窓口・紹介事業者を使うかの判断の観点
入居相談の窓口・紹介事業者を使うかどうかは、費用の大小だけでは判断できません。自施設の情報をどこまで自分で管理できるか、紹介が止まったときに何が残るかの2点で考えます。
判断の観点は大きく3つに分けられます。
- 掲載内容を誰が更新するか:空き状況・費用・受け入れ条件が古いまま掲載されると、条件の合わない相談が届くことがあります
- 相談の質をどう確認するか:届いた相談のうち、見学・入居に至った件数を経路別に記録しておくと、続けるかどうかを数字で判断できます
- 止めたときに何が残るか:紹介経由の相談しかない状態では、契約を見直したときに相談の入口が残りません
契約の内容は事業者によって異なります。契約前に、契約条件(掲載範囲・費用の発生条件・解約の手続き)と、所管の自治体の基準・通知をご確認ください。 運用の取り扱いは地域によって差があるため、判断を一般論で済ませず、自治体の担当窓口に確認することをおすすめします。
自力経路を持たないと、紹介の増減にそのまま揺さぶられる
自力経路とは、自施設のホームページや地図情報など、他社を介さずご家族に届く経路のことです。ここがないと、紹介元の事情がそのまま相談件数に表れます。
紹介の件数は、自施設の努力とは関係なく変動します。病院の退院支援の担当者が代わる、地域に新しい施設ができる、紹介事業者の掲載順位が変わる。こうした要因で、前月まで来ていた相談が止まる場面もあります。このとき、自力経路があれば検索経由の入口が手元に残ります。持っていない場合、紹介が止まった分を補う入口がありません。紹介経路を減らす必要はありません。紹介を続けながら、同時に自力経路も持っておくという組み立て方ができます。
ご家族と紹介元の双方が見に来るページを整えるとき、依頼前に社内で決めておきたいことを並べています。介護のHP発注前チェックリストは、ホームページ制作をご検討中の法人様向けの資料で、フォームからお申し込みいただいた方へお送りしています。
段階別に詰まりを外す|①問い合わせ ②見学 ③入居決定
問い合わせが来ないときは「見つかるか」と「受けられるか」を分けます。見学に至らないとき、見学後に決まらないときは、それぞれ確認する対象が別になります。表1で特定した段階に対応する項目から読んでください。
①-1 見つかるか(ホームページ・地図・空き情報の更新)
①の段階でまず見るのは、情報が見つかる状態になっているかです。ご家族とケアマネジャーが探す場所に、必要な情報が載っているかを確認します。
探される場所は3つあります。
- ホームページ:費用の内訳、受け入れ条件、居室と共用部の写真、アクセス、問い合わせ窓口が1ページ内で完結しているか
- 地図情報(施設名で検索したときに表示される情報):住所・電話番号・営業時間が実態と合っているか
- 空き情報:現在の空室数と、その情報の更新日が載っているか
このうち見落とされやすいのが更新日です。空き情報に日付が入っていないと、見ている側はその情報がいつ時点のものか判断できません。「現在1室空きあり(◯月◯日時点)」と日付を添えると、いつ時点の情報かが伝わります。
ホームページの作り方や費用の考え方は、介護のホームページ制作|費用の決まり方と依頼先4タイプ比較を参考にしてください。
①-2 受けられるか(電話・フォームの受付体制、返信までの時間)
もう片方は、見つかっているのに連絡を受けられていない場合です。露出を増やしても、電話に出られない時間帯があれば、その時間の連絡は受けられません。
受付の体制は、4つの観点で見ます。
- 日中に施設の代表電話を取れる人が決まっているか
- 相談窓口の担当者が不在のとき、誰がどこまで答えるかが決まっているか
- 問い合わせフォームの送信先が、毎日確認されるアドレスになっているか
- フォームの問い合わせに、何時間以内に返すと決めているか
この部分は、広告や紹介を増やす前に、社内の取り決めだけで着手できる範囲です。
あわせて見直したいのが、ホームページの更新が止まっていないかです。更新が止まると、空き情報と費用の記載が実態とずれていきます。制作を外部に依頼したまま、更新のたびに費用と日数がかかる状態だと、更新そのものが後回しになります。当社がホームページと採用サイトを制作した社会福祉法人福昭会様では、自社で更新できる管理体制をつくりました。その結果、ホームページの固定運用費(保守費)は月3万円から0円になりました。
ホームページの費用については、当社では月額1万円からのプランもご用意しています。ご検討の際は、次の4点をあわせてご確認ください。
- 初期費用は現在かかりません(月3社限定)
- 契約期間は6ヶ月からです
- 月額に含まれるのは制作費と保守費用です(ドメイン代・サーバー代は別途かかります)
- 金額はプラン・ページ数・施設の規模によって変わります
②-1 問い合わせはあるのに見学に至らないとき
相談は届いているのに見学の日程が決まらないときは、最初の返答の中身を見直します。1回のやり取りで判断材料が揃わないと、次のやり取りが必要になります。
初回の返答には、3つの情報を入れておきます。
- 費用の内訳(月額に含まれるもの、別途かかるもの、入居一時金の有無)
- 現在の空き状況と、入居可能な時期の目安
- 見学の候補日を複数(こちらから日程を提示する)
とくに日程の出し方は工夫できる部分です。「ご都合のよい日をお知らせください」と返す形だと、ご家族側が候補日を組み立てることになります。候補日を3つほどこちらから提示し、選んでいただく形にします。
③-1 見学で説明を揃えておきたい3点
見学後に決まらないときに確認するのは、費用の内訳の分かりやすさ、入居後の生活の具体像、医療的ケアの可否の3点です。複数の施設を見学されることもあるため、説明が揃っていない項目は比較の材料にしにくくなります。
- 費用の内訳:月額の内訳を項目ごとに紙で渡します。口頭の説明だけでは、家に持ち帰って家族で相談するときの手元の材料になりません
- 入居後の生活の具体像:1日の流れ、食事、入浴の回数、外出や面会の扱いを具体的に伝えます
- 医療的ケアの可否:現在の状態で受け入れられるか、状態が変わったときにどこまで対応できるかを、可・条件つき可・不可で示します
3点目は、入居後に状態が変わったときの話まで含めて伝えます。入居時点だけでなく「この先も居られるか」という点も、検討の材料になると考えられるためです。
③-2 見学後の追いかけ(いつ・誰が・何を連絡するか)
見学後の連絡は、担当者の判断に任せず、時期と内容を決めておきます。決めていないと、忙しい時期の連絡が担当者の記憶頼みになります。
決めておく項目は3つです。
- いつ:見学の翌営業日、および1週間後など、連絡のタイミングをあらかじめ決める
- 誰が:見学に対応した職員か、相談窓口の担当者か、責任者を1人に決める
- 何を:見学時に答えられなかった質問への回答、書類の補足、検討状況の確認
連絡の目的は、判断を急かすことではありません。見学の場で答えきれなかったことを補い、検討の材料を揃えてもらうことです。追いかけの手順を決めておくと、担当者が変わったときの引き継ぎの材料になります。
③-3 決まらなかった理由を記録する
入居に至らなかったとき、その理由を1行でも残します。記録がなければ、次にどこへ手を入れるかの判断材料がないまま翌月を迎えます。
残す項目は4つです。
- 相談が届いた経路
- 見学の有無と日付
- 決まらなかった理由(費用・立地・医療的ケア・ほかの施設に決定・時期が合わない、など)
- 次に空きが出たときに再度ご案内してよいか
理由が費用に集まるなら説明の仕方か料金設定の話、医療的ケアに集まるなら受け入れ条件の見せ方の話、というように、次に手を入れる場所が絞れます。3ヶ月分ためると、件数の並びとして見返せるようになります。
当社は医療介護福祉の法人様を100社以上ご支援しています。ご支援しているのは採用支援・SNS運用代行・ホームページ制作の領域で、入居者募集の代行や入居相談の窓口の運営は行っておりません。ホームページやSNSでの情報発信、採用・職員体制づくりに関するご相談は無料で承っています。お問い合わせフォームから、1営業日以内にご返信します。お電話は06-4400-1681(受付9:00〜20:00・日祝除く)です。
数える5つの数字と、月に一度の見方
問い合わせ数・見学数・入居決定数・退去数・経路別の内訳の5つを月ごとに並べると、3段階のどこで件数が減っているかを確認できます。退去数も並んでいると、空室が増えた理由を入口と出口のどちらで説明できるかが分かります。
入居決定数は契約日の月、退去数は退去日の月で数えると、月をまたぐ迷いがなくなります。数える作業は月に一度で足ります。相談記録と見学の予約表から転記する形で進められます。大切なのは、精密に数えることではなく、毎月同じ定義で数え続けることです。経路別の内訳の合計が問い合わせ数と一致するよう、1件につき経路をひとつだけ選んで記録します。見学数は見学が実施された件数で数えます。電話やメールでの相談を数えたい場合は、問い合わせ数の内訳として別に持ち、3段階の判定には使いません。
表4|月に一度記入する入居者獲得シート
項目 | ◯月 | ◯月 | ◯月 | 気づいたこと |
|---|---|---|---|---|
問い合わせ数(1件につき経路を1つ選んで数える) | 件 | 件 | 件 | |
見学数 | 件 | 件 | 件 | |
入居決定数 | 件 | 件 | 件 | |
退去数 | 件 | 件 | 件 | |
経路別の内訳(ケアマネジャー/病院/紹介事業者/検索) | 件/件/件/件 | 件/件/件/件 | 件/件/件/件 |
見方は次のとおりです。問い合わせ数が減っていれば①の段階、問い合わせはあるのに見学数が伸びていなければ②の段階、見学数に対して入居決定数が伸びていなければ③の段階です。入居決定は見学から数ヶ月後になることがあります。③を見るときは、同じ月の中で比べるのではなく、見学した件がその後どうなったかを追って判断します。表1に戻って、対応する項目を確認します。
経路別の内訳は、3ヶ月並べると意味が出ます。ある経路だけが減っているなら、その経路に固有の要因がないかを探します。全体が一律に減っているなら、受付体制や情報の更新など、経路をまたぐ部分を見ます。
稼働率そのものの見方は別記事で
稼働率という指標の定義と計算の仕方、人件費率や採用コストとの関係は、介護施設の経営で見る3つの数字|稼働率・人件費率・採用コストが扱っています。本記事の表4は、その手前にある入居者獲得の動きを数えるためのものです。
種別ごとの収支や制度の前提は、介護付き有料老人ホームの経営に整理があります。
数字を数え続ける理由は、判断を遅らせないためです。東京商工リサーチの調査によると、2025年の介護事業者の倒産は176件で、そのうち有料老人ホームは16件でした(2025年「介護事業者」倒産 過去最多の176件・2026年1月9日公表)。倒産の原因は売上不振が140件で、構成比79.5%を占めています。
また、同社の別の調査では、2025年の介護事業者の休廃業・解散は653件で、うち有料老人ホームは23件でした(2025年「介護事業者」休廃業・解散653件・2026年1月23日公表)。倒産と休廃業・解散は別の概念のため、合算はできません。
これらは業界全体の数字であり、個々の施設の状況を示すものではありません。ただし、倒産の原因として売上不振が最も大きな構成比を占めている点は、入居者の獲得を継続して見ておく理由のひとつになります。月に一度数える習慣があれば、件数の変化を早い時期に確認できます。
有料老人ホームの入居者獲得に関するよくある質問
営業はどこから回ればよいですか
病院の地域連携室・退院支援、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターの3つからです。順番に迷う場合は、過去1年の入居がどの経路から来たかを先に数え、すでに入居につながっている経路から回ります。まったく数字がない場合は、施設から近い順です。訪問の記録と報告の回し方はケアマネジャーからの紹介獲得|訪問・記録・報告の回し方にまとめています。
入居相談の窓口・紹介事業者は使うべきですか
一律の答えはありません。判断の材料は本文の「入居相談の窓口・紹介事業者を使うかの判断の観点」で3点に整理しています。とくに見落とされやすいのは、自力経路を持たないまま契約だけを見直したときに、相談の入口が手元に何も残らない状態です。費用や契約条件は事業者ごとに異なるため、契約前に契約条件と、所管の自治体の基準・通知をご確認ください。
見学では何を見られていますか
ご本人とご家族では見ている場所が別です。ご本人は居室の広さ、食事、1日の過ごし方、ほかの入居者の様子を見ています。ご家族は月額費用の内訳、入居後の生活の具体像、医療的ケアの可否を確認しています。見学のあとにご家族だけで相談される場面を想定して、口頭の説明だけでなく、持ち帰れる資料を渡しておきます。
入居率の平均はどのくらいですか
当社で一次確認できた統計がないため、本記事では平均値を示しません。他社の記事で見かける数値も、出典と調査時点をご確認ください。実務では、平均と比べるより自施設の推移を追うほうが判断に使えます。表4のとおり、問い合わせ数・見学数・入居決定数・退去数・経路別の内訳を毎月同じ定義で記録し、3ヶ月分を並べてください。稼働率という指標の定義は介護施設の経営で見る3つの数字|稼働率・人件費率・採用コストで扱っています。
ホームページはどこまで作り込むべきですか
まず、ご家族が確かめている4つ(費用の内訳・空き状況・場所・雰囲気)と、ケアマネジャー・病院が確かめている3つ(対応できる医療的ケア・空き情報の更新日・連絡先)が載っている状態を目指します。デザインより先に、この情報が揃っているかです。あわせて、空き情報と費用を自施設で更新できるかをご確認ください。外部への依頼が毎回必要だと、更新が後回しになりやすくなります。費用の決まり方は介護のホームページ制作|費用の決まり方と依頼先4タイプ比較で整理しています。
空室が続くとき、最初に手をつけるのはどこですか
表1で段階を切り分けたうえで、費用のかからない項目から着手します。具体的には、空き情報に更新日を入れる、日中に電話を取る担当を決める、問い合わせフォームの送信先を毎日確認するアドレスに変える、の3つです。いずれも当日から着手でき、露出を増やす前に受付の状態を整えられます。そのうえで経路別の内訳を数え、細っている経路に手を入れます。
まとめ:有料老人ホームの入居者獲得で押さえる5点
- 「入居が決まらない」は問い合わせ・見学・入居決定の3段階に分かれ、段階によって手を入れる場所が変わります
- 入居に関わるのはご本人だけでなく、ご家族・ケアマネジャー・病院の退院支援で、確かめている情報がそれぞれ違います
- 入居系は在宅系と経路の構成が違い、入居相談の窓口・紹介事業者とご家族の検索が加わります
- 問い合わせが来ないときは、見つかるかと受けられるか(電話の応答・返信までの時間)を分けて見ます
- 問い合わせ数・見学数・入居決定数・退去数・経路別の内訳の5つを月ごとに並べると、3段階のどこで件数が減っているかを確認できます
今日できるのは、過去3ヶ月の問い合わせ数・見学数・入居決定数を相談記録から数え、表4に書き出すところからです。経路が分からない件があれば、次の問い合わせから「どこで当施設を知ったか」を聞いて記録に残す運用を足してください。
医療介護福祉の法人様を100社以上ご支援し、ご利用中のお客様への満足度アンケート調査では満足度90%以上をいただいています。当社がご支援しているのは採用支援・SNS運用代行・ホームページ制作の領域で、入居者募集の代行や入居相談の窓口の運営は行っておりません。ホームページやSNSでの情報発信、採用・職員体制づくりに関するご相談は無料で承っています。お問い合わせフォームから、1営業日以内にご返信します。お電話は06-4400-1681(受付9:00〜20:00・日祝除く)です。あわせて介護のHP発注前チェックリストも、フォームからお申し込みいただけます。
監修者

森永 大樹
エジスト株式会社 代表取締役
2018年大学卒業後、レバレジーズ株式会社に入社し、介護事業部の営業を担当。2020年に退職後、エジスト株式会社を設立し、介護・医療業界特化メディア、採用支援サービスのケアプラを運営する。

