採用・定着

介護の採用RPO(採用代行)とは|使う場面と任せる範囲の決め方

監修者森永 大樹

求人は出しているのに、応募者への連絡や面接日程の調整、応募数の集計が担当者ひとりに集まっています。そのなかで採用代行(RPO=採用業務の外部委託)を使うか迷い、どこまで任せてよいのか決めきれずにいる。そうした施設長・採用担当者の方に向けた記事です。

この記事では、任せやすい作業と施設に残す判断、使う場面と先に見直す場面、導入前に決める7項目を整理します。介護・医療・福祉に特化して採用支援を行うケアプラが、一般的な整理と、ご支援の立ち上げ時に確認している事項を分けて解説します。

答えを先にまとめると、一般に外へ出しやすいのは求人運用や応募対応などの作業です。採用する人の要件・条件・合否の判断は、施設側が担います。

項目

目安

一般に外に出しやすい作業

求人票の原稿作成と媒体運用/スカウト(求職者への直接の声かけ)の作成と送付/応募者への一次連絡/面接日程の調整/数字の集計と月次レポート

施設に残す判断

採用する職種・人数・要件/給与など提示する条件/面接での見極めと合否・内定/入職後の受け入れ

向く場面

応募対応が兼務で回らない/複数の拠点や職種で並行して採用している/採用の進め方を社内に残したい

先に見直す場面

条件が周辺の求人と離れている/応募後の選考で決まらない

この表は、次の見出しで工程ごとに詳しく整理する内容の要約版です。

当社は、採用・SNS運用代行・ホームページ制作を含む全サービスで、医療介護福祉の法人様を100社以上支援してきました。採用代行(RPO)の基礎から導入の進め方までを扱った資料もご用意しています。

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介護の採用RPO(採用代行)とは|任せられるのは運用、施設に残るのは判断

採用RPOで一般に外へ出せるのは求人運用や応募対応などの作業で、誰を採るかの要件と合否の判断は施設に残ります。

採用RPOとは、採用活動の一部または全部を外部の専門会社に委託する仕組みです。対象になるのは、求人票の作成、媒体への掲載、スカウトによる母集団づくり(応募候補者を集めること)、応募者への連絡、面接日程の調整、数字の集計などの運用面の作業です。

人材紹介は採用が決まった人を紹介する位置づけで、RPOは採用活動の運用そのものを委ねる位置づけです。任せる対象が「人」なのか「作業」なのか、という違いがあります。費用面の比較は、採用代行の料金相場と比較の観点をまとめた記事で取り上げています。

採用の流れを6つの工程に分けると、一般に外へ出しやすい作業と、施設に残す判断は次のとおり整理できます。

工程

一般に外に出しやすい作業

施設に残す判断

①採用計画・要件の整理

現状データの整理、要件案の作成の補助

採用する職種・人数・要件の決定

②求人票・媒体運用

求人票の原稿作成、媒体への掲載、掲載内容の見直し案の作成

給与・勤務条件など提示する内容の決定と最終確認

③スカウト・母集団づくり

スカウト文面の作成と送付、応募が集まる経路の運用

施設の魅力として伝えたい事実の整理と素材の提供

④応募者対応・面接調整

応募者への一次連絡、面接日程の調整、候補者の管理

面接での見極め、現場見学の対応

⑤選考・内定

選考状況の整理、内定者への連絡の補助

合否・内定・条件提示の判断

⑥内定後・振り返り

数字の集計、月次レポートの作成、改善案の提示

入職後の受け入れと育成、レポートを見て方針を決めること

採用の6工程ごとに、一般に外へ出しやすい作業と施設に残す判断を対比した図(介護の採用RPOで任せる範囲の整理)

表のなかで見落とされやすいのが④です。面接の日程調整は外に出せても、働く人柄や施設との相性を見極める面接は、現場を知る施設側の工程です。

どこまでを外に出すかは、契約の内容によって変わります。また、「外に出せる作業があること」と「その作業で成果が出ること」は別の話です。この記事は、後者をお約束するものではありません。

ここからは当社の話です。ケアプラの採用代行の標準的な提供内容は、求人媒体運用・スカウト・面接調整・報告レポート・月次ミーティングです。実際の内容は、施設の状況に合わせて設計します。求人媒体運用にも対応しており、そのうえでSNS採用(SNSを入口にした採用活動)による母集団づくりを組み合わせて設計することもできます。

当社が採用を支援しているのは医療・介護・福祉の施設です。福祉や医療の施設でも、この工程の分け方は考え方として共通して使えます。

採用RPOのメリットと限界を、施設側の目線で整理する

施設側の時間を判断に使う余地が生まれる一方、要件の決定や合否判断は施設に残り、費用の構造も契約ごとに確認が要ります。

料金体系の種類や費用相場は、別の記事にまとめてあります。詳しくは採用代行の料金体系とタイプ別の違いをご覧ください。ここでは、施設側の運営という観点から、メリットと限界を並べます。

観点

メリット(一般的な整理)

限界・注意点

作業負担

応募者への連絡や日程調整などの作業を外に出すため、担当者の時間を要件の見直しや面接に回しやすい

作業を外に出しても、要件・条件・合否の判断は施設に残る。施設側の窓口が決まっていない状態では、応募者への返答が施設側の確認待ちになる

拠点をまたいだ見える化

複数の拠点や職種の応募状況を、1枚の表にまとめて見られる形にしやすい

元の記録が拠点ごとにばらばらだと、集計の前に整理が必要になる

知見が社内に残るか

月次レポートや定例で運用の中身を共有してもらう契約であれば、進め方を施設側でも把握しやすい

代行が中心の契約では、進め方が施設に残りにくい場合がある。代行してほしいのか、自分たちで運用できるようになりたいのかを最初に決める

費用の構造

月額を払い、一定期間の運用を任せられる

月額制の契約では、月額とは別に、求人媒体側で採用が決まったときの成功報酬が発生することがある。媒体によって水準が異なる

費用の構造は、稟議や理事会で説明するときに見落とされやすい点です。当社の採用代行も、月額とは別に媒体側の成功報酬が生じる構造です。見積もりの段階で、この2つの内訳を分けて確認しておく必要があります。採用にかかる費用を手段ごとに見たい場合は、介護の採用単価の内訳も参考になります。

表の右側にある限界の列は、次の見出しで「どんな場面が向くか」を見分けるときの手がかりになります。

採用RPOを使う場面と、先に別の手を打つ場面|5つの状況で見分ける

応募対応が兼務で回らない場合や複数拠点の同時募集には向き、条件や選考に原因がある場合はそちらの確認が先になります。

採用RPOが担うのは、応募者への連絡、面接の日程調整、数字の集計といった運用の部分です。求める人物像の要件、給与や休日などの条件、合否の基準は、施設が判断する領域として残ります。したがって、採用の悩みの原因がどこにあるかによって、向き不向きが分かれます。一般的な整理としては、次の5つの状況で見分ける方法があります。

状況

採用RPOとの相性

先に確認すること

1 応募者への連絡や面接調整が、兼務の担当者に集中している

検討に向く。作業を外に出す意味がある状況

担当者が応募対応に使っている時間と件数を数える

2 複数の拠点・職種で、採用を並行して進めている

検討に向く

拠点ごとの応募数・面接数を1枚の表にまとめられているか

3 採用の進め方を社内に残し、自分たちで運用できるようになりたい

検討できるが、契約の中身が別になる(進め方の共有やレポートの設計が論点)

代行と自走のどちらが目的かを最初に決める

4 応募がほとんど来ない

運用より先に、条件や魅力の点検を行う

通勤圏の同業態の求人と、給与・休日などの条件を並べて見る

5 応募はあるが決まらない、または急ぎで1名だけ採りたい

選考の基準や条件を先に見直し、人材紹介の併用も検討する

選考で決まらない理由の整理。紹介を使う場合の費用の見方

採用RPOを使う場面と、先に別の手を打つ場面を5つの状況で見分ける図(相性と先に確認することの一覧)

行4のように応募がほとんど来ない場合は、運用を外に出す前に、条件や求人の見せ方に原因がないかを見る必要があります。原因を数字で切り分ける手順は応募が来ない原因を数字で切り分ける方法に、人材不足への対策全体を進める順番は人材不足対策で着手する順番で扱っています。

行5で人材紹介の費用を見直す場合は、人材紹介料の削減方法をご覧ください。人材紹介を併用するなら、進め方の一例として、紹介をゼロにする前提では考えず、掲載とスカウトを先に回し、一定期間で候補者が出なければ紹介を加える方法があります。

採用代行の事例|成光苑様は拠点ごとの採用を本部に集約

社会福祉法人成光苑様は、当社の採用代行で採用チームを本部に集約し、採用コストを年間10%削減、直接応募20件を創出しました。

項目

内容

法人の規模

従業員500〜999名の介護・福祉法人

支援前の状態

採用が拠点ごとに分かれ、応募の状況を把握できていなかった。人材紹介と求人広告費への支出で採用コストが上がっていた

採用代行での支援

採用チームを本部に一本化し、応募状況の把握から求人票の見直しまでを1か所で管理

結果

採用コストの年間10%削減、直接応募20件の創出

自施設ではどの工程を外に出すかは、導入前の整理で決めていきます。取り組みの背景は、人材不足対策の事例3件でも紹介しています。

導入前に決めておく7項目を、5つのステップに並べる

導入前に決めておきたいのは、目的・現状の数字・施設側の窓口・要件と条件・紹介の併用可否・素材・見る数字の7つです。

7項目をひとつずつ考えると、順番に迷いやすくなります。そこで、導入の流れに沿って5つのステップに配分し、表にまとめました。

なお、この表は採用RPOの導入を考える際の一般的な整理です。特定の施設での実績を示した内容ではない点にご留意ください。

ステップ

決めること

決める人

つまずきやすい点と事前に決めておくこと

①目的を1つに決める

代行してほしいのか、自分たちで運用できるようになりたいのか(7項目の「目的」)

経営層・採用責任者

目的が複数あると、契約の内容と期待がずれる。まず目的を1つ書き出す

②現状の数字を集め、見る数字を決める

直近の応募数・面接数・入社数と、採用にかけている費用。運用開始後に週次で見る数字(7項目の「現状の数字」「見る数字」)

採用担当者

現状が分からないまま目標を置くと、比べる基準がない。手元の記録を1枚の表に集める

③任せる範囲と、施設側の窓口を決める

「介護の採用RPO(採用代行)とは」の見出しで整理した6工程のうち、どこまで外に出すか。応募者への対応や確認事項に答える人と、対応できる時間帯(7項目の「窓口」)

採用責任者

窓口が決まっていないと、日程や条件の確認が施設側の返答待ちで止まる。窓口と返答の目安を先に決める

④キックオフ(初回の打ち合わせ)で、要件・条件・素材を渡す

採用する職種と要件、年収など提示条件の範囲、紹介会社を併用してよいか、求人原稿に使う写真などの素材(7項目の「要件と条件」「紹介の併用可否」「素材」)

経営層・採用責任者・現場の責任者

要件と条件が曖昧なまま募集を始めると、求人票の訴求が定まらない。決められない項目は「未定」と共有しておく

⑤運用開始後、段階ごとの数字を見る

求人の閲覧やスカウト送付、応募、書類選考・面接、内定・入職の順に、どの段階で止まっているか。内定後の連絡を誰が担うか

採用担当者・採用責任者

数字を見ずに任せきりにすると、止まっている段階が分からない。内定後の辞退を運用のリスクとして先に洗い出し、内定者への連絡の担当を決める

採用RPOの導入前に決める7項目を、目的から運用開始後の確認まで5つのステップに並べた図

ご支援の立ち上げ時に、当社が施設側へ確認している事項

表のうち、ステップ④は施設側にしか決められない内容が中心です。ご支援の立ち上げ時(キックオフ)に施設側へ確認する事項の例として、当社では次の項目を想定しています。

  • 採用したい職種と要件:現在の募集職種に加え、上位の職位候補まで対象を広げられるかどうかも伺います
  • 年収の提示レンジと、募集の対象エリアの範囲:求人票に載せる条件の幅と、対象とするエリアの範囲を揃えます
  • 既存スタッフの構成と現体制、希望する入職時期:現場の状況と、いつ頃から働いてほしいかを共有していただきます
  • 写真・ロゴなどの素材と、競合との差別化点:求人原稿に使える素材を出せるか、施設側は自分たちの強みをどう見ているかを確認します

このほかに、紹介チャネルを併用してよいか、その場合の予算の許容範囲も確認事項に入れています。

要件・条件・素材・予算は、外部の会社が推測で埋めることはできない内容です。運用に入る前の確認事項として先に伺うのは、そのためです。

全部を一度に決めきれなくても構いません。決まっていない項目は、未定のまま共有していただければ、その前提で進め方を相談できます。

数字の見方は、既存の記録から始める

ステップ②と⑤の数字については、複雑なツールを入れない形が合う場合もあります。スプレッドシートなどで、すでにある記録を1枚の表にまとめ、週次で見る形です。

見るのは、採用数や採用単価といった基本の指標が中心です。同じ指標を定点で見続け、施設側と外部の担当者が同じ表を見て、どの段階で止まっているかを確認します。

当社の採用代行では、任せる範囲の決め方から相談できます

外に出す作業と施設に残す判断を分けておくと、相談の論点として整理できます。

当社の採用代行は、「介護の採用RPO(採用代行)とは」の見出しでご紹介した提供内容を基本に、施設の状況に合わせて範囲を設計します。当社は採用・SNS運用代行・ホームページ制作を含む全サービスで、医療介護福祉の法人様を100社以上支援しています。採用代行では、前の事例のように採用チームの集約を支援した例もあります。

採用が決まったときに費用が発生する人材紹介(成功報酬型)を併用するかどうかは、目的と予算によって変わります。併用の考え方も含めて、採用面のご相談の中で整理できます。

当社がご支援しているのは、採用支援、SNS運用代行、ホームページ制作の領域です。採用・職員体制づくり、ホームページやSNSでの情報発信に関するご相談は、お問い合わせフォームから承っています(1営業日以内にご返信します)。まずは無料相談で状況をお聞かせください。導入は1ヶ月からのご相談も可能です。

自施設の場合の任せ方を、無料相談で確認する

電話でのご相談は 06-4400-1681(受付9:00〜20:00・日祝除く)です。

採用RPOに関するよくある質問

導入前に寄せられる、人材紹介との併用・福祉や医療の施設・兼務体制・自走の希望についての疑問に答えます。

人材紹介と併用してもよいですか?

併用する場合の考え方(順番・費用の見方)は、相談の中で整理できます。順番の考え方は、使う場面の5つ目で触れたとおりです。

福祉や医療の施設でも使えますか?

当社が採用を支援しているのは医療・介護・福祉の施設です。「介護の採用RPO(採用代行)とは」の見出しで整理した6工程の分け方は、考え方として共通して使えます。ただ、職種や資格要件、勤務体系によって採用の難所は変わります。そのため、ステップ④の要件の整理で、施設の種別に合わせて決めていきます。障害福祉の事業所については、障害福祉の配置要件と採用代行に任せる範囲を整理した記事で詳しく扱っています。

採用を兼務する担当者しかいない施設でも使えますか?

兼務で時間が限られている状況は、採用RPOを使う場面の1つ目に当たります。ただし、施設側の窓口になる方は必要です。応募者への対応や確認事項に答える方を決め、あわせて返答の目安も先に取り決めておきます。

自施設で運用できるようになりたい場合はどうすればよいですか?

代行を中心にする契約と、進め方を施設に残すことを重視する契約とでは、必要な内容が変わります。後者では、進め方の共有やレポートの設計が論点になります。まずステップ①で、どちらを目的にするかを決めてください。

まとめ

介護の採用RPOでは、求人運用や応募対応などの作業は外に出しやすく、要件・条件・合否の判断は施設に残ります。

  • 6つの採用工程のうち、一般に外へ出しやすいのは運用面の作業で、採用する職種・要件、提示条件、合否と内定の判断は施設に残る
  • メリットと限界はセットで見る。作業の負担を外に出せる一方、施設側の窓口づくりは残る
  • 応募対応が兼務で回らない場合や複数拠点の同時募集は検討に向く。応募が来ない、または選考で決まらない場合は、条件や選考の確認が先になる
  • 採用代行では、社会福祉法人成光苑様が、採用チームを本部に集約し、採用コストを年間10%削減、直接応募20件を創出している
  • 導入前に決める7項目は、目的・現状の数字・窓口・要件と条件・紹介の併用可否・素材・見る数字。5つのステップに並べると進めやすい

次の一歩として、直近の応募数と、応募対応に使っている時間を数えてみてください。料金体系や会社選びの確認項目は、採用代行(RPO)の比較と選び方で整理しています。

採用・職員体制づくり、ホームページやSNSでの情報発信に関するご相談は、次のお問い合わせフォームから承ります。

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監修者

森永 大樹のプロフィール写真

森永 大樹

エジスト株式会社 代表取締役

2018年大学卒業後、レバレジーズ株式会社に入社し、介護事業部の営業を担当。2020年に退職後、エジスト株式会社を設立し、介護・医療業界特化メディア、採用支援サービスのケアプラを運営する。

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